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ファシリテーションの道具箱 森時彦

チームの意識を「可能なこと」に集中させるツール

森 時彦 [チェンジ・マネジメント・コンサルティング代表取締役/リバーサイド・パートナーズ代表取締役]
【第9回】 2008年2月22日
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 「できないこと」「変えられないこと」をいくら議論しても時間のムダ。しかし、わかっていてもそういう議論を繰り返してしまう会議がなんと多いことだろう。この道具は、チームの意識を「可能なこと」に集中させるためのツールである。

【事例】
ラーメンチェーン店の月例店長会議

 関西地区の100名以上の店長が10名位ずつテーブルについている。これまでの月例店長会は、本部からの連絡事項と成績発表・優良店の表彰と一方通行の会議だったが、前回から店長の日ごろの悩みなどを話し合うインタラクティブな方向に切り替えた。しかし、1回目はなかなか意見が出ず、出る発言は本部に対する不満ばかりに終わった。

 今回も、前回同様各テーブルで「日々の仕事で困っていること」について語り合ってもらうことにしたが、愚痴大会にならないようにと社長から釘を刺されている。そこで、今回は各テーブルにホワイトボードと大判のポストイットを用意した。ホワイトボードには右3分の1のところに縦線を引き、広い左側に「コントロール可能」、狭い右側に「コントロール不可能」とあらかじめ題記しておいた。

 本部からの連絡事項が終わったところで、全体のファシリテーターを務める岡山氏は全員の前に立つと、次のように切り出した。

 「みなさんの手元にあるポストイットに、日ごろ困っていることや悩みを1件1枚で書き出してください。何枚でも使ってかまいません。10分間差し上げますので、とにかく遠慮なくドンドン書いてください」

 岡山氏が話し終わると、ざわざわと全員がペンをとって書きはじめた。

 「それでは、書いたものを身近にあるホワイトボードに分けて貼り出していただきたいと思います」10分経ったところで、岡山氏がもう1度口を開いた。「ただし、ホワイトボードに書いてあるように、それが皆さんにとって『コントロール可能』か『不可能』か、を考えて貼り出し、その後、各テーブルで分類どおり貼り出されているか話し合ってみてください。30分時間をとりたいと思います。追加があれば、遠慮なく書き足してください」

 3分ほどして、いったんポストイットが貼り出されると、各テーブルで、全員がホワイトボードの前に立ち、議論が始まった。「おい、それはコントロールできんじゃろう!」と1人の声が聞こえた。その方向を見ると「やっぱりそうかなぁ」と首をひねりながら貼りなおしている人がいる。そのやり取りが妙におかしく、笑いが広がった。

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森 時彦 [チェンジ・マネジメント・コンサルティング代表取締役/リバーサイド・パートナーズ代表取締役]

1952年大阪生まれ。大阪大学、マサチューセッツ工科大学卒。工学博士、経営学修士。日本GE役員、テラダイン日本法人代表取締役等を経て、チェンジ・マネジメント・コンサルティング代表取締役。2007年、中小企業の成長促進・事業承継に重点を置いた投資会社リバーサイド・パートナーズの代表取締役に就任。著書に『ザ・ファシリテーター』『ザ・ファシリテーター2』『ファシリテーター養成講座』(いずれもダイヤモンド社刊)などがある。


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