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加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

市場化や法治主義を謳った「三中全会」は
“中国政治のリアル”をどう動かすか

加藤嘉一
【第17回】 2013年11月19日
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改革の具体的項目や内容を
知る上で極めて重要な三中全会

 11月9~12日、中国共産党第十八期中央委員会第三回全体会議(以下、“三中全会”)が北京で開催された。

 歴史的に見て、国家リーダーが変わる党大会が実施された後に行われる三中全会は、その期を担う新しいリーダーたちが特に経済改革をめぐるアジェンダに関して何を考え、どのような政策を打ち出そうとしているのかを占う上で、極めて重要な会議とされてきた。

 今回の三中全会を指揮した習近平総書記は、会議閉幕後の11月15日、国営新華社通信を通じて“《中共中央が全面的に改革を深化する上でのいくつかの重大問題に関する決定》に関する説明”(以下《説明》。《決定》は三中全会後に発表された公式ドキュメント、改革の具体的な項目や内容を知る上で極めて重要な文献になる)を自らの署名で発表した。

 そこでは、以下のように三中全会の意義を語っている。

 「改革開放以来、毎期の三中全会がどのようなアジェンダを議論し、どのような決定を下し、どのような措置を取り、どのようなシグナルを発するかは、人々が新しい中央リーダーたちがどのような施政方針を掲げるのかを判断する上での重要な根拠になってきた。我々にとっても、これからの5年、あるいは10年にわたって任務を全うしていく上で重大な意味を持っている」

文書内では「改革」が
もっとも多く記載された

 歴代で特に重要な意味を持つ三中全会を二つ挙げてみよう。

 毛沢東氏が逝去し(1976年9月9日)、文化大革命が幕を閉じた後、1978年12月18~22日に行われた第十一期三中全会では、トウ小平(トウの文字は登におおざと)氏のリーダーシップの下、改革開放路線を歩み、仕事の重点を経済建設にシフトすることが決定された。

 中国の改革開放事業にとって第十一期三中全会が如何に重要で、決定的な役割を果たしたかという点に関しては、私も北京大学学部生時代、あらゆるテキストで嫌というほど目にした。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


加藤嘉一「中国民主化研究」揺れる巨人は何処へ

21世紀最大の“謎”ともいえる中国の台頭。そして、そこに内包される民主化とは――。本連載では、私たちが陥りがちな中国の民主化に対して抱く“希望的観測”や“制度的優越感”を可能な限り排除し、「そもそも中国が民主化するとはどういうことなのか?」という根本的難題、或いは定義の部分に向き合うために、不可欠だと思われるパズルのピースを提示していく。また、中国・中国人が“いま”から“これから”へと自らを運営していくうえで向き合わざるを得ないであろうリスク、克服しなければならないであろう課題、乗り越えなければならないであろう歴史観などを検証していく。さらに、最近本格的に発足した習近平・李克強政権の行方や、中国共産党の在り方そのものにも光を当てていく。なお、本連載は中国が民主化することを前提に進められるものでもなければ、民主化へ向けたロードマップを具体的に提示するものではない。

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