カプコンは、ゲームソフト「モンスターハンター4」が大ヒットし、業績回復の基調にある。しかし、スマートフォン向けゲームの開発の遅れや開発費高騰という業界が抱える課題も浮き上がる。
スマートフォン向けゲームの普及は、従来のゲームメーカーには大きな脅威となっている。だが、カプコンの辻本春弘社長は「ゲーム専用機だからこそ楽しめるゲームもある」と強気だ。
というのも、今年9月に発売した、任天堂のニンテンドー3DS向けソフト「モンスターハンター(通称モンハン)4」は発売1カ月強で330万本の出荷を達成したからだ。2010年に大ヒットしたソニーのプレイステーション・ポータブル(PSP)向けの「モンスターハンターポータブル3rd」に匹敵する勢いだ。「前作の470万本を超えたい」と辻本社長は手応えを感じている。
その効果が大きく、今期は前期比で増収増益となり、売上高営業利益率も12.4%に回復する見通しだ(図(1))。
カプコンは中期経営計画において、17年3月期に営業利益率20%を掲げる。売上高構成比のうち、11.6%を占めるアミューズメント施設事業(ゲームセンター)はリストラ効果で収益が回復、同17.8%のアミューズメント機器事業(パチスロ機など)は営業利益率28%台に達している。つまり、主力のデジタルコンテンツ事業(ゲーム)での収益性拡大が、目標達成の鍵となる。
カプコンの2桁の営業利益率の原動力となっているのが「ワンコンテンツ・マルチユース」戦略だ。複数のハードに同じソフトを供給し、さらには出版物や映画、テーマパークなど他の産業とコラボレーションして、ゲームのキャラクターや世界観を紹介していくものだ。「ヒットタイトルの続編が出るまでに3年なりの期間がかかる。その間に忘れられないように仕掛けていく」(辻本社長)。