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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

マネーストックは増えていない。
データが裏付ける期待バブルの崩壊

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第2回】 2013年11月28日
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 金融緩和政策によって日本経済の状況が改善していると考えている人が多い。しかし、こうした見方は、データによって裏付けることはできない。

悪化する景気判断と消費者心理

 図表1は、内閣府の景気ウォッチャー調査による「景気の現状判断指数」を示したものである。

 10月の指数は51.8となり、前月より1.0ポイントの大幅な下落を示した。10月の指数が低下したのは、9月の指数が上昇しすぎたことの反動もあったろう。また、台風が相次いだため、消費が抑えられたことの影響があったとも言われる。

 確かに、そうした事情は否定できない。しかし、低下の原因は、それだけではない。図で明らかに見られるように、指数は3月がピークで、それ以降はほぼ継続的に低下しているのだ。

 また、図に示すように、住宅関係の指数が10月には対前月比7.6ポイントの低下と、大きく落ち込んだことも注目される。これは、住宅の駆け込み購入が9月末で一巡したことを示すものかもしれない。

 他方で、賃金が上がらず物価が上がっている。このため、消費者心理は悪化している。これは、内閣府の消費動向調査に表れている。消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は、10月には41.2となり、前月から4.2ポイント低下した。消費者態度指数を構成する4項目すべての意識指標が低下した。

 大型の台風が関東を直撃するなど特殊要因があったためと説明されることもあるが、指数は、9月を例外として4月から悪化を続けていることに注意が必要だ。悪化は10月だけの特殊事情ではないのである。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

アベノミクスの本質は、株価や為替レートなど資産価格のバブルを利用して、経済が好転しているような錯覚を人々に与えるものだ。人々の将来への「期待」を高め、それを実体経済の改善につなげようとする。たしかに、株価は上がり、輸出企業の利益は増えているが、賃金や設備投資に回復の兆しは見られない。果たして、人々の「期待」は実現するのか、それとも「幻滅」に変わるのだろうか?

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