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山田厚史の「世界かわら版」

特定秘密保護法案は成立目前
「成長戦略国会」はどこに消えたのか

山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]
【第50回】 2013年12月5日
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 「期待されていることより、やりたいことを優先したことが失敗だった」

 第一次安倍内閣を反省した安倍首相は、どこへ行ったのだろう。

 内閣法制局長官の首をすげ替え、NHK経営委員をお友達で固め、道徳教育教科書を押し付け、そして特定秘密保護法(以下、秘密保護法)である。

本来は「成長戦略国会」のはずが……

 「やりたかったこと」ばかり。日本が直面する優先課題はどこに行ったのか。

 秋の国会は「成長戦略国会」になるはずだった。特区をあちこちに作って特例の規制緩和や資金投入をすることが本当に力強い成長につながるか、そこは疑問である。

 だが与野党が正面から議論し、日本再生への処方箋を探ることこそ国会のなすべきことだった。来年4月から消費税増税が始まる。賃金が伸びない中での増税は消費を委縮させる。

 アベノミクスも化けの皮が剥がれつつある。インフレ期待を煽って物価を上昇させるはずだったが、今起きているのは、円安による輸入インフレ。つまり「悪い物価上昇」である。円安を喜んでいられない。輸出企業の採算を向上させたが、輸出数量は増えていないばかりか、消費者の購買力を委縮させる。そんな中での消費増税である。

 「汚染水は完全にコントロールされている」という首相発言がウソであることも日々の事実が示す。フクシマでは早急に手を打たなければならない非常事態が続いている。汚水処理、除染は急務だが、放射能にまみれた土や水や核廃棄物の処分地が決まらない。真剣な合意形成に政治が取り組んでいないからである。

 普天間基地の移転はどうだ。「沖縄の負担軽減」は口先だけで、「振興策」と呼ばれる心をカネで買ういつもの手法。心は無視されカネは特定の人たちだけに落ちる。

 政治の核心は、山積する課題に優先順位をつけ、着手できるよう合意形成をすすめることである。首相に欠落しているのが優先順位付けと合意形成へのやる気である。

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山田厚史 [デモクラTV代表・元朝日新聞編集委員]

やまだ あつし/1971年朝日新聞入社。青森・千葉支局員を経て経済記者。大蔵省、外務省、自動車業界、金融証券業界など担当。ロンドン特派員として東欧の市場経済化、EC市場統合などを取材、93年から編集委員。ハーバード大学ニーマンフェロー。朝日新聞特別編集委員(経済担当)として大蔵行政や金融業界の体質を問う記事を執筆。2000年からバンコク特派員。2012年からフリージャーナリスト。CS放送「朝日ニュースター」で、「パックインジャーナル」のコメンテーターなど務める。

 


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元朝日新聞編集員で、反骨のジャーナリスト山田厚史が、世界中で起こる政治・経済の森羅万象に鋭く切り込む。その独自の視点で、強者の論理の欺瞞や矛盾、市場原理の裏に潜む冷徹な打算を解き明かします。

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