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China Report 中国は今

日本を悪者扱いし日米関係の仲を引き裂く
中国のプロパガンダ術に日本は打ち勝てるか

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第140回】 2013年12月6日
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 12月2日、米バイデン副大統領が訪日し、安倍晋三首相と会談した。「米国は東シナ海の現状を一方的に変更しようとする中国の試みを深く懸念している」と述べ、その二日後に訪中する際は、日米の共通の見解を中国政府に伝えるものと期待されていた。

習・バイデン会談や日中関係を伝える中国各紙。「美」は中国語で米国を指す Photo by Konatsu Himeda

 そして4日、バイデン副大統領は中国を訪問し習近平国家主席と会談したが、両者は防空識別圏問題については公式的な発言を控えた。中国紙は「バイデンは積極的なシグナルを送るには至らなかった」と伝えた。

 5日付けの環球時報は、トップページに両国首脳の握手シーンを掲げ、「(関係各国は)中米会談の内容を見守る」との見出しを掲げた。見出しは「防空識別圏」の「ボ」の字もなく、珍しく控えめだったが、記事は、安倍首相の目論みが水泡に帰したことを強調するものであった。

相反する小さなズレを見つけ
あの手この手でくさびを打つのが得意

 記事は伝える。

 「バイデン副大統領は東京で安倍を支持するような話で日本に“想像の空間”を与えたが、今となっては安倍の声高な要求も水に流れてしまった」

 さらに記事は、バイデン副大統領にはどちらに肩入れをするのかという心理的矛盾があること、ひとたび中国に来れば、安倍首相との話を翻し、習近平主席との深い個人的なつながりで局面を打開した、などと伝えた。

 「防空識別圏」はどこに行ってしまったのか。かろうじて新聞の見出しの右肩に「両国関係はすでに島嶼を超越」とサブタイトルが掲げられていたが、「防空識別圏」はあたかも二義的問題に置き換えられてしまったかのようだ。

 予定時間を1時間45分も上回る熱心な会談だったが、日米関係にくさびを打ち込むこともまた、中国側にとっての大事な仕事だったようである。米中関係の強化はすなわち、「日本を仲間はずれにする」ことを意味する。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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