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第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

上司との対立で、不本意な「配置転換」に・・・。部下よりも“上司を守る”組織の論理

上司も会社も敵に回した結果、退職強要を受け続ける久米氏のケース

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第10回】 2009年2月16日
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 「配置転換を受け入れてもらえますね?」――人事権をもつ人からこう言われたときに、明確に拒否することができる社員は少ないだろう。日本の企業の場合、配置転換を拒むことは、その後の人事評価や昇進を考えると、難しいことである。

 今回は、直属上司とウマが合わずに衝突が続いていた若手社員が、配置転換を受け入れたことで、会社との対立が泥沼化していく状況を紹介する。

 あなたが受ける配置転換は、大丈夫か――。

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■今回の主人公
久米 清 仮名(36歳 男性)
勤務先: 従業員数330人ほどの大手映像制作会社。放送局と複数の企業が出資し、15年程前に設立された。以前は、放送局への人材派遣を主に行なっていたが、最近は独自で番組制作を行い始めている。経営状態は、一時の勢いはないものの、概ね好調。
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(※この記事は、取材した情報をプライバシー保護の観点から、一部デフォルメしています)

役員と部長からの
「業務命令」

 担当役員の坂本がひげをさすりながら、話し始めた。左隣には、部長の西村が座る。

 「君と副部長の上田君は、ウマが合わないみたいだな。君がいまの部署に残るのは、好ましくない」

 久米は、自分がなぜ異動になるのかわからなかった。そもそも、この1ヶ月間、上田から受けた退職強要について、役員や部長は何の説明もしない。それも、よくわからなかった。

 数日前、久米は上田に対し、「これ以上、不当な行為をすると、第三者を立てます」と強い口調で話した。上田はこの言葉を聞くと、一切、何も言わなくなった。

 そして数日後、今度は役員と部長から応接室に呼び出しを受けたのである。そこで久米は、上田がこの1ヶ月間に行なった一連の行為について尋ねようとした。すると、坂本が眉間にしわを寄せた。その表情は、“人の話を最後まで聞け!と言わんばかりだった。

 「とりあえず、嘉村君がリーダーをしている翻訳チームに異動してもらえないだろうか」

 久米は、何かがおかしいと感じた。このチームに、正社員が配置されたことは過去に1度もない。この部署は、すべて契約社員で構成されている。

 「あそこにいる白井さんや東さんは、たしか契約社員ですよね。英語能力を買われて、専門性の高い契約社員として……。そこに、英語ができない私がなぜ行くのでしょうか?」

 「……」

 「私は、一応、正社員ですけど、これからは正社員もあそこに行くことになるのでしょうか?」

 坂本は、答えない。ソファーの背にもたれ、西村のほうを見る。今度は、西村が話し始める。

 「上田君と同じ部署では、君も嫌だろう。嘉村君が、君を面倒みたいと申し出てくれた。こうして、坂本常務もおっしゃってくださっているんだから……」

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


第2次リストラ時代(!?)に贈る 私が「負け組社員」になった理由

会社から冷遇され、気がつくと「負け組」となってしまった人たちを毎回取材。彼らの実体験を振り返ることで、企業の冷酷さだけでなく、自己防衛できなかった敗因を分析。第2次リストラ時代で生き残る術を探る。

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