世界貿易のしくみは整った。
けれども現実は……

 その後、アメリカやオーストラリアでコシヒカリなど日本米の大規模栽培が始まると、日本の米農家にも脅威を与えるようになります。現在、輸入米は政府が一括購入し、民間には高く売却するという形で日本米と競合できるようしています。

 1995年、ウルグアイ・ラウンドに基づいて、世界貿易機関(WTO)が発足します。GATTを国連機関として常設化したもので、自由化の対象をモノに限らず、サービス(金融・通信)や知的財産権(特許・著作権)にまで拡大し、違反した場合の罰則(制裁金の徴収)を強化しました。

 2001年に中国、2012年にはロシアが加盟し、現在世界の大半の国が加盟しています。しかし、この加盟国の多さが弱点となりました。

先進工業国は例外なしの自由貿易を望む一方、途上国は国内産業を守るため、例外規定を設けようとします。ドーハ・ラウンド(2002~2012年)は何も決まらぬまま休会となってしまいます。そこで、地域単位や2国間での自由貿易協定、FTAやEPAが結ばれるようになったのです。

(次回掲載は、未定です)


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