東京ディズニーリゾート(TDR)などを運営するオリエンタルランド(OLC)が、北海道で土地を取得し、農園事業に乗り出そうとしていることがわかった。自社が展開するレジャー施設で、将来的に食材の一部を供給できないか検討を始めており、水面下で事業化調査に着手しているのだ。

北海道で農業参入の機会をうかがっている企業は少なくない(写真は北海道屈斜路湖)
Photo by Maya Wakita 

 候補地として挙がっているのが、北海道でも有数の温泉地である弟子屈町周辺の土地。弟子屈町は、釧路空港から車で約1時間半の距離に位置し、道内で2番目に大きい屈斜路湖と、阿寒国立公園の特別保護地区に指定されている摩周湖を抱えるため、観光シーズンには多くの観光客が訪れる。

 そこへ、「最近は農業にも適した土壌の良さを目当てに、東京の大企業の関係者が大勢足を運んでいる」と弟子屈町関係者は言う。それも、農業関連ではなく、まったく異業種の会社が多いという。「エリア周辺の土地は最高でも1坪数千円」(不動産関係者)という安さも魅力的に映っているようだ。

 その中でも強い関心を寄せているのがOLCだ。屈斜路湖畔に広がる、広さ数万坪の原野に熱視線を送っている。屈斜路湖畔ではすでにビートやイモなどの畑作が多く行われている。

食品偽装が背中押す

 なぜ今、OLCが農業なのか。

 事情をよく知る関係者は「安心できる食材の提供のため、今多くの企業が新たな土地の確保に動いている。取得後は外部委託で、自社専用の農作物を作らせる仕組みだ」と説明する。現に、ある食品加工会社幹部は、「魅力的な土地はすでに他の企業が手中に納めているケースが増えた。OLCもその一つ」と声を潜める。