東京ディズニーランドが行なった、「いかに来てもらうか」の仕組みを準備しつつ「ディズニーランドとは何か」という本質を理解してもらうための試みとは? 信じれないほど地道で地味なマーケティングのキモを語る!

「ディズニーランドがやってくる」の地方行脚

 私たちは当時、お客さまに直接「ディズニーランドとは何か」、を理解してもらうための取り組みも進めていました。そこで画策したのが、入社時に担当した「JALナイト」。東京ディズニーランドのスポンサー企業である日本航空(JAL)と組んで行った全国キャンペーンで、当時、JALはこの企画で、航空機が発着する都市で販売促進活動を展開していました。

 もともとハワイ、スペインなどの海外ツアーを知ってもらうために年に1回行われているキャンペーンだったのですが、たまたまカリフォルニアの年があり、どうせなら「ディズニーランドがやってくる」という企画でいきましょう、とスタートしたのでした。

 JALにすれば、アメリカのディズニーランドも東京ディズニーランドもツアーとして扱える。一石二鳥なのです。そして東京ディズニーランドは、開業前にお客さまにアプローチができる、というメリットがありました。

 そしてこのとき行われたのが、第3回にも書いた、ミッキーマウスと、アメリカのディズニーランドから呼んできたダンサーを中心としたチームによるショー。地方都市で展開したのですが、どこも大変なにぎわいでした。

ディズニーランドを知っている人は2割に満たなかったのですが、ミッキーマウスを目の前で見たことがある人は、もっと少なかったはずです。ミッキーのキャラクターは知っていても、じかに見たことはない。そういう人がほとんどの中で、テレビやキャラクターとしては知られていたミッキーマウスがやってくる、というのは、相当なインパクトになるようでした。