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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

経済悪化を明確に示す法人企業統計
――売上げが伸びず、利益、設備投資は前期比で減少

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第4回】 2013年12月12日
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 12月9日に発表された2013年7-9月期のGDP(国内総生産)速報(2次速報値)では、実質GDPの対前期比増加率(季節調整済み)が、0.5%から0.3%へとかなり大きく下方修正された(年率換算値では、1.9%から1.1%に)。この大きな原因は、1次推計で0.2%とされていた民間企業設備の前期比が、0.0%に下方改定されたことだ。日本経済に「好循環」は生じていないことが、はっきりと示された。

 こうしたこととなる背景は、法人企業統計を分析すれば明らかになる。7-9月期の法人企業統計は、現在の日本経済の状況をきわめて的確に伝えている。ほとんどすべての指標が、対前期比では悪化しているのである。設備投資はもちろん、利益でさえ、季節調整済み対前期比で見ればマイナスの伸びだ。金融緩和政策の効果は、まったく見られない。以下では、この状況を詳しく見ることとしよう。

伸びない売上高

 売上高は、企業活動を示すもっとも基本的な変数だ。経済の好循環は、売上げが伸びなければ生じない。

 7-9月期の対前年比を見ると、全産業が0.8%、製造業が0.3%、非製造業が1.1%となっている。前期までのマイナスの伸びからは脱したが、依然低い伸び率だ。製造業はこれまでのマイナスの伸びを脱したが、0.5%にも届かない。

 対前年比より重要なのは、今年になってからの絶対額である。なぜなら、仮に金融緩和策の影響があるとすれば、ここに表れるはずだからだ。しかし、7-9月期の数字を見ると、製造業も非製造業も、異次元金融緩和導入前の1-3月期に比べて減少している。好調と思われている輸送用機械も、1-3月期より減少だ。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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野口悠紀雄 期待バブルが幻滅に変わるとき

アベノミクスの本質は、株価や為替レートなど資産価格のバブルを利用して、経済が好転しているような錯覚を人々に与えるものだ。人々の将来への「期待」を高め、それを実体経済の改善につなげようとする。たしかに、株価は上がり、輸出企業の利益は増えているが、賃金や設備投資に回復の兆しは見られない。果たして、人々の「期待」は実現するのか、それとも「幻滅」に変わるのだろうか?

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