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田中均の「世界を見る眼」

防空識別圏設定や張成沢氏処刑で事態が複雑化
先鋭化する中国に対して日米はどう連携すべきか

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第27回】 2013年12月18日
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今や中国は国際関係の最大の課題に
防空識別圏設定を巡る日米の温度差

 現在の国際関係の最大の課題は、中国とどう向き合うかである。

 中国は急速な経済成長を達成し、世界第二位の経済大国として各国との相互依存関係を深化させた。中国の広大な市場や安価な輸出品は大きな魅力であり、世界経済を牽引する力となっている。

 その一方で、共産党一党独裁の下で法の支配、基本的人権といった普遍的価値が十分尊重されていないことや、ここ数年の対外的攻勢は近隣諸国に大きな不安を生んでいる。

 特に、南シナ海や東シナ海、さらには尖閣問題などで中国の「力を背景とし、現状を変更しようとする一方的行動」は大きな摩擦を生んでいる。まさに国際社会にとって、中国との経済的相互依存関係と安全保障面での緊張関係という二律背反的な関係をどう調整していくかという、大変困難な問題に直面しているわけであるが、各国の対中政策には違いが目立ち始めている。特に日米の違いには懸念を持たざるを得ない。

 先般中国が唐突かつ一方的に防空識別圏を宣言した際、日米はこれを強く非難した。米国はケリー国務長官やヘーゲル国防長官が非難の声明を出したほか、B52戦略爆撃機を訓練飛行させ、米国の軍事活動に中国の防空識別圏にかかわる声明は、一切影響を与えないことを鮮明にした。

 しかし、来日したバイデン副大統領との間では防空識別圏の「撤回を求める」日本の方針が日米共通アプローチとして確認されなかったほか、民間航空機の飛行について飛行プランの提出をさせない方針を決めた日本当局と、提出を慫慂(しょうよう)した米国当局の差は明らかとなった。

 バイデン副大統領は、日本訪問後の中国訪問で習近平国家主席と5時間半の会談を行ったと伝えられているが、中国側に防空識別圏の撤回を求めたとは伝えられていない。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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