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ここがヘンだよ 日本人の働き方 高橋俊介

「仕事と家庭」は両立させるほどストレスが減る!?
ワーキングマザーに学ぶべきこれからの働き方

高橋俊介 [慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授]
【最終回】 2013年12月25日
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 これまで、日本人の働き方が世界と比べていかに特殊か、という話を書いてきました。じつはもう1つ、日本人に特徴的な価値観があります。それは「専念」を良し、とすること。

 辛抱強く1つのことを成し遂げることに価値がない、とは言いません。しかし、これも行き過ぎると思わぬ弊害を生みます。そして、それをよく表しているのが「家庭と仕事の両立」という言葉でしょう。

 考えてみれば、これは非常におかしな言い方です。「家庭と仕事」を両立させることは男女を問わず、当たり前のことだからです。

 にもかかわらず、日本のビジネスパーソン、とりわけ女性が働く場合は必ず、このことが強調される。

 これはいったい、どういうことなのでしょうか?

「専念」は思考の幅を狭める
「両立」はむしろ、ストレス解消にいい

 私がこのおかしさに気づいたのは以前、ワーキングマザーのインタビュー調査をした時でした。その頃は家事・育児をしながら働くことの大変さばかりが強調されていたので、働きながら子育てをするということが、本人にとってはどのような意味を持つものなのか、調べたいと思っていました。

 結果、わかったことがありました。それは、「両立」は意外なほどストレス解消に効果がある、ということです。

 多かれ少なかれ、みなさんも経験があることと思いますが、仕事ばかりしているとストレスが溜まります。そんな時、なにかほかのことをして、息を抜きたくなりますよね?

 じつは、これ、働くお母さんたちがいつもしていることなんです。

 仕事でストレスを溜めて家に帰ると、お腹を空かせた子どもが「お母さん!」と言って飛びついて来る。この瞬間に、彼女たちのスイッチが切り替わります。職場での嫌なことは忘れ、しばらくの間は家事と子育てに没頭する。しかし、子どもとばかり向き合っていると、これもまた、ストレスが溜まる。では、そのストレスをどこで発散するかと言えば、会社に行って仕事に没頭することで忘れるのです。

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高橋俊介(たかはし・しゅんすけ) [慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科 特任教授]

1954年東京都生まれ。東京大学工学部航空工学科を卒業し日本国有鉄道に入社。84年プリンストン大学工学部修士課程を修了し、マッキンゼー・アンド・カンパニー東京事務所に入社。89年ワイアットカンパニーの日本法人ワイアット(現タワーズワトソン)に入社。93年同社代表取締役社長に就任。同職を退任後、個人事務所ピープル ファクター コンサルティングを通じて、コンサルティング活動や講演活動、企業の人材育成支援などを行う。2000年慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授に就任。同大学SFC研究所キャリア・リソース・ラボラトリー上席所員(訪問)を経て、11年11月より現職。

『組織マネジメントのプロフェッショナル』(ダイヤモンド社)、『人材マネジメント革命』(プレジデント社)、『21世紀のキャリア論』(いずれも東洋経済新報社)など著書多数。


ここがヘンだよ 日本人の働き方 高橋俊介

“がむしゃら”に会社のために働くことが正解だった高度経済成長期。その時代を脱し、低成長・グローバル化が進む今は、その働き方がふさわしいものではないと多くの人が認識し始めている。しかし、それでもなかなか日本企業、日本人の働き方は変わっていない。一体何か、日本人の働き方革命を阻害し、日本企業の成長を止めているのか。世界的にみて「ここがヘンだよ」と思われる日本人の働き方を明らかにすると同時に、新しい時代の働き方への処方箋を提示する。

「ここがヘンだよ 日本人の働き方 高橋俊介」

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