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コミケは大企業も注目する日本屈指のイベントに成長
そこへ「ディズニーが公式出展」する意義と影響は

小山友介 [芝浦工業大学システム理工学部教授]
【第47回】 2013年12月27日
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 コミケットに足を運ぶ層は「好きな作品を自分で見つけ出す」ことを好む積極的な消費者で、「広告・宣伝に踊らされた」「一時の小銭稼ぎに利用された」と感じることを極端に嫌う。最近、「クールジャパン」がバズワード化して以降、パッケージに美少女キャラクター(萌えキャラ)を描いた商品が発売されたり、色々な地域でご当地キャラとして萌えキャラが採用されたりするケースが増えているが、それらの大半は話題にすらならずに消えていく。最大の理由は「萌え絵を描いておけば売れるだろう」程度のいい加減なスタイルが、ユーザーに伝わってしまうためである。企業側も、ユーザーが企業の「本気度」をしっかりと見ていることを肝に銘じた方がいいだろう。

 とはいえ、今回のディズニーの活動は、まずは「出てきただけでもすごい」といえることは間違いない。しかし、本気でファン層を広げたいのなら、次はもっと踏み込む必要がある。「エンダーのゲーム」は実写映画であり、コミケットに出展してもドル箱の自社アニメキャラクターにダメージはない。これは今回の活動が実験的なものであることを示している。次回以降は、アニメ映画で「特別版コラボレーションポスター」を作成して日本だけではなく世界レベルで展開する、くらいの尖ったことをやってほしい。

 また、昨年夏のコミケットではサントリーが「C.C.レモン擬人化イラストコンテスト」の結果発表として100種類を超えるイラスト缶を展示していたが、ディズニーも100種類以上のコラボポスターを作成するぐらい派手なことをしてもいいだろう。

 トヨタが米国での宣伝に初音ミクを起用したように、日本のキャラクター・イラストレーターには一定以上の支持層が存在している。また、日本のソーシャルゲームのいくつかは海外でも順調に売上を伸ばすなど、支持層が拡大する兆しもある。コンテンツビジネスにおいては海外の日本ファン層にまで刺さるような思い切ったことを行うことが、逆に日本国内のコンテンツ市場を刺激することにもなるのではないだろうか。つまり「クールジャパン」の成功は海外市場だけでなく、日本国内のコンテンツ産業にも良い影響を与えることをも意味しているのだ。

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小山友介
[芝浦工業大学システム理工学部教授]

1973年生まれ。芝浦工業大学システム理工学部教授。2002年京都大学大学院博士課程修了。博士(経済学)。東京工業大学助教等を経て現職。東工大時代に経済シミュレーション研究に従事、そこで学んだコンピュータサイエンスの知識を生かしてゲーム産業研究を行なう。専門はゲーム産業を中心としたコンテンツ産業論と社会情報学。2016年6月末に『日本デジタルゲーム産業史』 (人文書院)を刊行。

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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