政府は、24日、一般会計の総額が過去最大の95兆8823億円となる来年(2014)度予算案を閣議決定した。
年末の予算記事は“官製広報”
今の時期に、マスコミが書く予算の記事は、ほとんど「予定原稿」である。経済関係の記者に、予算に関する知識はほとんどない。その記者に対して一度にたくさん予算内容をレクしても消化不良になって記事にできない。そこで、あらかじめ記事にできそうなところを役所で資料にして、解禁日時付きで原稿資料として記者に渡しておく。それに基づいて記者が記事を書いているだけだ。この意味で、この時期の記事のネタは官製広報そのものともいえる。
そのためか、どこのマスコミの記事を見ても、消費税増税などの家計の負担増に対して、それを軽減する対策という構成になっている。その後に、役所寄りと思われる有識者による歳出の切り込み不足、財政再建は不透明という、ステレオタイプの記事ばかりになっている。
どうして、こうなるかといえば、一言で言えば、マスコミは、消費税増税を財政再建のためと思い込んでいるからだ。実のところは、消費税増税は、財務省官僚が予算総額を膨らまして、カネを自由に差配できるようにするためだ。カネを差配できることを「歳出(家庭で言えば支出)権」というが、「増税は財政再建ではなく歳出権拡大のため」だ。こういう視点で見れば、増税して対策をすることは、歳出権拡大の実践であるし、財政再建が遠のいても、それは当然の話だ。
筆者は、この増税は歳出権拡大のためというからくりを前から指摘してきた。単行本『財務省の逆襲:誰のための消費税増税だったのか』(東洋経済新報社)や本コラム「消費税増税せずとも財政再建はできる」をごらんいただきたい。
「増税は財政再建のため」がウソを知った体験
筆者は、理系出身であるが、全く偶然に大蔵省(現財務省)に入ってしまった。あるとき、予算関係の仕事をしていたのだが、当時の幹部から「君は数字に強く、とても優秀だが、一つだけわかっていない」といわれ、「本気で削るな。相手が頭を下げに来る程度でいい。そこで予算をつければ感謝されるから」といわれたことがある。財政再建はと聞くと「重要な建前」とかわされてしまった。