働き方の自由度が広がり、フリーランス人口が増えている昨今。今は会社勤めをしているけど、いずれはフリーランスとして腕を試したいと思っている人も多いかも知れない。だが、気をつけた方がいい。いまの健康保険をフリーランスの国保に切り替えたとき、きっと愕然とするはずだ。なんと年収の1割超が、保険料として徴収されてしますのだ。それどころか、保険料の限度額は年々上昇。老後の年金支給額が違うのはもちろんのこと、社保加入の会社員と比較した場合にあまりにも不公平な点が多いことを指摘する。本稿は、笹井恵里子『国民健康保険料が高すぎる!保険料を下げる10のこと』(中央公論新社)の一部を抜粋・編集したものです。
所得640万円で国保料88万円!?
こんなに取られたらやっていけない
いま国保に加入している者の生の声をお伝えしたい。はっきり言って泣き言だ。だが本当に保険料が高い。低所得者はもちろん、年収1000万円以下は所得の1割以上の保険料を支払っているわけだから、誰にとっても重すぎる負担なのだ。
2021年度の筆者の国保料は約88万円だった。その国保料は前年(2020年)の所得約640万円(年収は890万円)をもとに算出されている。
その前はどうだったかというと、2020年度の国保料は約48万円で、その前年(2019年)の所得は約338万円(年収は560万円)。高いと思ったはずだが、10回払いで月々4万8000円を何とか支払っていた。48万円の国保料を支払う時は、年収890万円を得ていた年だったからというのも大きい。
特にフリーランスをはじめ自営業者は、今年の収入を来年も得られる保証はどこにもない。
保険料を安定的に徴収するためにも、せめて「前年度の収入をもとに国保料を算定する」仕組みを見直す必要があるのではないかと思う。翌年の収入の目処がたちにくいのだから、該当する年度から引かれるほうがいい。
税理士の服部修氏(服部会計事務所代表)も、「国保料も所得税のように源泉徴収を取り入れるべきです」という。私であれば出版社から原稿料が振り込まれる際、源泉徴収としてあらかじめ10%の所得税が引かれる。それに1%プラスして国保料を引くのだ。最終的な増減は翌年の確定申告で調整すればいいだろう。「それにしても……」と、自身も国保に加入する服部氏が続ける。
国保料の限度額は年々上昇
払えない人が続出
「国保料の限度額は年々上昇していますが、所得の高い人にとってもこれ以上は限界です。所得の2割3割などを占めるようになれば払えない人がさらに続出します」
私は3年前、支払いが厳しいと感じた時に打てる手はないのかと、居住地である都内区役所の国保を扱う窓口を訪ねた。国保料の決定通知書を見せ、今年はやや少ない収入となりそうだが、この状態で減額の措置はあるかとたずねると、区の職員は首を横にふる。
「ありません。通常、国保料の減免は直近3ヵ月の収入や家賃の金額などトータルで判定しますが、生活保護を受けられるかどうかというほど困窮している世帯が対象になります」
私は納得がいかなかった。
毎年本を出版しているが、そのまるまる1冊分の原稿料が国保に消えていくのだ。