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伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

大都市の「集積効果」が生むシナジーこそが
経済の活力の源泉となる!

伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]
【第41回】 2014年1月6日
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新しい価値は
何から生まれるのか

 本連載では、これまで何度かにわたって、TFP(全要素生産性)を引き上げるために何が必要であるかを考えてきた。

 そこで取り上げてきたのは、生産性の低い産業から生産性の高い産業へ資源をシフトさせる「産業間調整」、産業内の再編を進め、より高い生産性の企業や生産者に資源を集める「産業内調整」、そしてX非効率性と呼ばれるような企業内に潜む非効率性を排除する「企業内調整」などである。そうした資源配分の効率化を進めるうえでは、市場開放や規制緩和などの改革が有効となる。

 今回は、TFPを高めるもう1つの重要なチャネルである「集積効果」について取り上げることにしたい。集積効果の基礎にあるのは「シナジー」という現象だ。異なったものが融合したり、ぶつかりあったりして新しい価値が生まれることをシナジーという。シナジーの生まれない社会に発展はない。

 経済を空間的にとらえることで、集積効果が見えてくる。都市にさまざまな企業や人が集まり相互依存関係を持つことで、多様なシナジーが生まれてくる。これが都市の集積効果である。近年、都市の集積効果の重要性が増している。それには、いくつかの理由がある。

 1つはグローバル化の進展である。グローバル化が進むほど、海外から異質のものが流入する可能性が増大する。外資系企業、海外の文化、人材、ビジネスモデルや技術などだ。大都市は、海外から異質なものが入ってくる入り口となる。より海外に開かれた都市を抱えている国ほど、海外からのさまざまな要素を取り入れるうえで有利な位置にあることになる。

 都市の産業構造がより重要になっているもう1つの理由は、産業の中身の変化にある。農業社会であれば、異質との触れ合いはそれほど重要ではない。工業社会になれば、異質との触れ合いは重要ではあるが、日々の活動がそうしたものを求めているわけではない。多くの国で自動車やエレクトロニクスの産業が地方で発展することが多いのは、生産活動が隔離された工場の中で行えることと無関係ではない。

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伊藤元重 [東京大学大学院経済学研究科教授]

いとう もとしげ/1951年静岡県生まれ。東京大学大学院経済学研究科教授。安倍政権の経済財政諮問会議議員。経済学博士。専門は国際経済学、ミクロ経済学。ビジネスの現場を歩き、生きた経済を理論的観点も踏まえて分析する「ウォーキング・エコノミスト」として知られる。テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」コメンテーターなどメディアでも活躍中。著書に最新刊『日本経済を創造的に破壊せよ!』(ダイヤモンド社)等多数がある。


伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論

「アベノミクス」によって大きく動き始めた日本経済。いまだ期待が先行するなか、真に実体経済を回復するためになすべき「創造」と「破壊」とは? 安倍政権の経済財政諮問会議議員を務める著者が、日本経済の進むべき道を明快に説く! 

「伊藤元重の新・日本経済「創造的破壊」論」

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