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「引きこもり」するオトナたち

引きこもり当事者が「外に出る理由」
本人たちの思いから学ぶ“きっかけ”作りのヒント

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第182回】

 多くの引きこもり当事者たちは「外に出る理由」を探している。

 これまで引きこもり状態にあった孤立無業者たちにとって、自分の住む地域には、行きたいと思えるような魅力ある場所がほとんどない。当事者たちと話をしていると、そんな嘆きをよく耳にする。

 だったら、自ら「外に出る理由」を作ってしまえばいい。2014年は、そうした本人たちのそれぞれの思いにもとづく新しい動きが、各地で始まろうとしている。

「自分の住む地域にいると
外に出る理由がないんです」

 昨年12月1日、東京都内で開かれた『ひきこもり問題フューチャーセッション「庵―IORI-」』において、40歳代男性のYさんに出会った。

 Yさんが住んでいるのは、都心から電車に乗って1時間半以上もかかる、ひなびた都市の住宅地。そんな地方の街で父親とともに暮らしている。

 昨年8月、当連載記事を見て、「庵―IORI-」に参加した。

 「ひきこもり大学って、どんなことをやるんだろう。これから何が行われるんだろう。そんな期待を感じたんです」

 Yさんは、偶数月の第1日曜日に開催されている「庵―IORI-」と、やはり当連載で紹介した2ヵ月に1度の「中高年人材センター」が開かれる日だけ、わざわざ交通費をかけて東京に出てくる。

 何気なく「開催日以外、ふだんは何をされているんですか?」と聞いてみた。すると、Yさんは、こんなことを教えてくれた。

 「自分の住む地域にいると、外に出る理由がないんです」

 この日、「庵―IORI-」に参加していた首都圏に住む別の男性も、これまでずっと引きこもっていたが、当連載の記事を見て「(会場の最寄駅の)中目黒には昔、家族と一緒に来たことがあったので…」、勇気を振り絞って、久しぶりに外に出てきたと話していた。

 そんな「昔、来たことがあるから…」というくらいの些細な理由でさえも、人は外に出ようと思う「きっかけ」になるのだと知った。

 Yさんは、ずっと父親の会社を手伝っていたものの、リーマンショックを契機に、会社の経営が行き詰まり、従業員たちも全員解雇。以来、収入が途絶えた。

 いまは働いていたときの貯蓄と保険の解約金で生活。「今年1年くらいは何とか持ちそう」な状況だという。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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