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「引きこもり」するオトナたち

引きこもり44歳息子を70歳父親が殺害
事件から垣間見えた「老老介護社会」の歪み

池上正樹 [ジャーナリスト]
【第179回】

 “老老介護社会”へと向かう日本の歪みが、少しずつ噴き出しつつあるのではないか。

 長期化・高年齢化する「引きこもり」当事者を年老いた親が養い続ける。そんな先行きの見えない家族の未来を暗示するような悲劇が、またしても起きた。

 20年以上引きこもっていた44歳の長男が、広島県福山市の自宅で、70歳の父親によって殺害されたのだ。

 いったいなぜ、悲劇を未然に防ぐことができなかったのか。

 事件が起きた現場は、JR福山駅から4キロほど離れた住宅地にあり、長男はこの自宅で1人暮らししていた。

 報道によれば、11月29日午後5時半ごろ、父親はベッドの上で長男の首を絞めて殺害。1階居間の布団の中に運んだとされる。

 父親は12月2日午後3時頃、「息子を殺した」と、妻に付き添われて福山西警察署に自首。警察が長男の自宅に駆けつけると、遺体は布団の上にあおむけで手を合わせる形で寝かされ、体に毛布、顔には白い布がかけられていた。

 「息子から“殺してくれ”と頼まれた」

 「自分も年を取り、息子の将来を悲観して殺した」

 警察は、こう供述する父親を殺人の疑いで逮捕。長男の首にはロープのようなものを巻かれた痕があったという。

 長男は、10代の頃に体調を崩し、高校を中退。何とか大検を受けて、大学に入学したものの、再び中退してからは、自宅に引きこもりがちになった。

 両親は10年ほど前、長男と別居。以来、母親が毎日のように訪れて、食事などの世話をしてきたという。

 もちろん家族内の状況や事情など、周囲には窺い知ることはできない。

 しかも、近所の住民は、20年以上にわたって、長男の姿を見かけたことがないと報道で語っている。引きこもり状態が長期化し、固まってしまった本人の心のひだに触れることなど、よほどの理解者でもない限り、至難の業だ。

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池上正樹 [ジャーナリスト]

通信社などの勤務を経て、フリーのジャーナリストに。主に「心」や「街」を追いかける。1997年から日本の「ひきこもり」界隈を取材。東日本大震災直後、被災地に入り、ひきこもる人たちがどう行動したのかを調査。著書は『ひきこもる女性たち』(ベスト新書)、『大人のひきこもり』(講談社現代新書)、『下流中年』(SB新書/共著)、『ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護』(ポプラ新書)、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)など多数。TVやラジオにも多数出演。厚労省の全国KHJ家族会事業委員、東京都町田市「ひきこもり」ネットワーク専門部会委員なども務める。YAHOO!ニュース個人オーサー『僕の細道』

 


「引きこもり」するオトナたち

「会社に行けない」「働けない」――家に引きこもる大人たちが増加し続けている。彼らはなぜ「引きこもり」するようになってしまったのか。理由とそうさせた社会的背景、そして苦悩を追う。

「「引きこもり」するオトナたち」

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