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森信茂樹の目覚めよ!納税者

超巧妙なアップルの租税回避策
対策のカギは実は日本が握っている

森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]
【第65回】 2014年1月16日
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スターバックス、アップル、グーグルなど米系多国籍企業の租税回避がG8やG20で取り上げられ、大きな問題となっている。脱税でも節税でもないグレーの租税回避にどう対処すべきか。

実はこの問題は、米国の知財戦略と深く結び付いており、対応は簡単ではない。しかし放置しておけば、非米系のIT企業は、競争上大きな不利をこうむることになる。わが国が議長を務めるOECD租税委員会での対応がカギを握る。

ダブルアイリッシュ・
ダッチサンドウィッチ

 米系多国籍企業の租税回避がG8やG20で取り上げられ、大きな問題となっている。租税回避というのは、違法な脱税でもない合法な節税でもない、いわばグレーの分野で、アグレッシブなものは、私法上は問題がないものの、その結果もたらされる税効果は認められない(税法上は認められない)ものである。

 しかし、どのようなスキームが「アグレッシブ」なのかについては、なかなか統一基準を設けることが難しく、ケースバイケースで考えていくしかない。

第47回で、英国スターバックス社のスキームについて取り上げたが、今回は最も巧妙なスキームといわれている、ダブルアイリッシュ・ダッチサンドウィッチを紹介してみよう(次ページの図参照)。

 米国アップル社は、アイルランドに2つの法人(子会社Aと子会社B)を設立する。B社は、米国のチェック・ザ・ボックスルールを使ってA社の支店となる会社形態とする。

 チェック・ザ・ボックスルールというのは、ある事業体を法人課税するか、出資者などの構成員に直接課税する(パススルー税制)かを、自ら選択できる(どちらを選択するか四角いボックスにチェックをつける)制度で、米国特有の制度である。

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森信茂樹 [中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員]

(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
 

 


森信茂樹の目覚めよ!納税者

税と社会保障の一体改革は、政治の大テーマとなりつつある。そもそも税・社会保障の形は、国のかたちそのものである。財務省出身で税理論、実務ともに知り抜いた筆者が、独自の視点で、財政、税制、それに関わる政治の動きを、批判的・建設的に評論し、政策提言を行う。

「森信茂樹の目覚めよ!納税者」

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