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石川和男の霞が関政策総研

未知数の“発電能力買い取り制度”を創ってまで
電力自由化する意味はあるのか?

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第13回】 2014年1月27日
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カラ売り規制を課すから
電力安定供給は大丈夫?

 政府・経済産業省は今、電力小売全面自由化や発送電分離を軸とした“電力システム改革”なるものを進めようとしている。現在、一般家庭を中心とする小口需要家に対しては、電力10社がそれぞれの供給区域で独占的な電力供給をすると同時に、料金規制を伴う「供給義務」が課されている。

 電力小売を全面自由化すれば、「供給義務」を負う主体がいなくなってしまう。供給義務を負う主体がいなくなることで、生活必需品たる電気の安定供給は維持できるのかという疑問は当然出てくる。経産省の“電力システム改革専門委員会報告書(2013年2月)”にも、次のような記載がある。

―― これまで、供給力・供給予備力の確保は、供給義務を課されている一般電気事業者が担ってきた。小売全面自由化に伴って一般電気事業者の供給義務を撤廃することとしており、その後も電力の供給途絶を生じさせないためには、供給力が確実に担保できる新たな枠組みが必要である ―― (同報告書40ページ)

 この当然の問いに対して経産省が出した答えは、“小売事業者に対して、自らの供給の相手先の需要(販売量)に応じた供給力の確保を義務付けること”であり、経産省はこれを“供給力確保義務”と称している。この“小売事業者”には、発電設備を持たずに、卸電力市場から電気を調達して需要家に販売する事業者、いわば“電力小売ブローカー”も含まれる。

 茂木敏充経済産業相はこれを“カラ売り規制”と呼び、このカラ売り規制を課すから安定供給は大丈夫だ、と先の国会で答弁していた。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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