ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

たそがれ30~50代に搾取される“名ばかり構成作家”
30代で手取り20万円、サービス残業100時間の悲哀

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第28回】 2014年1月28日
著者・コラム紹介バックナンバー
1
nextpage

 今回は、前回取り上げた30代のテレビディレクターと親しい、30代の「自称・構成作家」を紹介しよう。2人は親しい間柄だが、共通の敵がいる。それは、30代後半から50代にかけての「おっちゃんたち」である。

 「自称・構成作家」の小山田恵一(仮名・34歳)は、番組制作プロダクションに勤務する。社長やその取り巻きのディレクターやプロデューサーである「おっちゃんたち」にいじめ抜かれる日々だ。

 小山田は10年ほど前、新卒での就職に「失敗」して以降、苦難を重ねて現在に至った。その姿はバイタリティに溢れるものであるが、少々不器用に見えなくもない。いつの時代も、人間30代前半くらいまでは迷いの中にいるものだが、小山田はとりわけ生きることが下手に思えなくもない。

 中高年からのいじめに苦しむ人たちにこそ、ぜひ読んでもらいたい。小山田の生き方に、何かを感じ取ってもらえると思う。


“おっちゃん”たちからの執拗ないじめ
「もうテレビ界から足を洗おうかな……」

 「コウモリとかスパイと呼ばれ、先輩からいじられる。もう、テレビの世界から足を洗おうかな……」

 自称・構成作家の小山田恵一(仮名・34歳)が、不満を吐き出すのかのように話す。その横に、前回の記事で取り上げた三笠(仮名・32歳)が座る。

 2人は、数年前から親しい間柄である。ともに、テレビ界に籍を置く30代後半から50代のディレクターやプロデューサーらによる「若手潰し」に不満を抱え込む。

 2人は、「クリエィティブなんて呼ぶのには、ほど遠い世界。将来がないおっちゃんたちの不満を晴らすための、いじめにしか見えない。あの人たちは、必死に自分を大きく見せようとしている」

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

 企業で働くビジネスマンが喘いでいる。職場では競争原理が浸透し、リストラなどの「排除の論理」は一段と強くなる。そのプロセスでは、退職強要やいじめ、パワハラなどが横行する。最近のマスメディアの報道は、これら労働の現場を俯瞰で捉える傾向がある。

 たとえば、「解雇規制の緩和」がその一例と言える。事実関係で言えば、社員数が100以下の中小企業では、戦前から一貫して解雇やその前段階と言える退職強要などが乱発されているにもかかわらず、こうした課題がよく吟味されないまま、「今の日本には解雇規制の緩和が必要ではないか」という論調が一面で出ている。また、社員に低賃金での重労働を強いる「ブラック企業」の問題も、あたかも特定の企業で起きている問題であるかのように、型にはめられた批判がなされる。だが、バブル崩壊以降の不況や経営環境の激変の中で、そうした土壌は世の中のほとんどの企業に根付いていると言ってもいい。

 これまでのようにメディアが俯瞰でとらえる限り、労働現場の実態は見えない。会社は状況いかんでは事実上、社員を殺してしまうことさえある。また、そのことにほぼ全ての社員が頬かむりをし、見て見ぬふりをするのが現実だ。劣悪な労働現場には、社員を苦しめる「狂気」が存在するのだ。この連載では、理不尽な職場で心や肉体を破壊され、踏みにじられた人々の横顔を浮き彫りにし、彼らが再生していくプロセスにも言及する。転機を迎えた日本の職場が抱える問題点や、あるべき姿とは何か。読者諸氏には、一緒に考えてほしい。

「悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史」

⇒バックナンバー一覧