経営×ソーシャル

レコメンドエンジンの全体像――ビジネスに使えるデータサイエンス

 今回は、アクセンチュアで行われているデータサイエンスの具体的な例として、アクセンチュア・レコメンドサービスについて説明します。

データサイエンスを一般化させたレコメンドエンジン

 アクセンチュア・レコメンドサービス(以下、ARS)は、顧客情報、行動履歴から、お客様一人一人に対して最適な商品をおすすめ(レコメンド)するサービスです。レコメンドサービスは、ECサイトでのクロスセル、アップセル、メールマガジン中の商品広告、キャンペーン情報送信対象の選定、クーポンによる実店舗への誘導、ニュースサイトの関連記事への誘導といったシーンで近年多く使われるようになってきました。ビジネスに活用されるデータサイエンスの代表的な例としてピンとくる読者も多いでしょう。

 レコメンドエンジンは一度システムを構築すれば終わりというものではなく、履歴情報に基づいて推奨モデルを随時刷新していくことが重要となります。ARSでは、単にシステムを導入するだけではなく、データサイエンティストがレコメンドの結果を検証し、精度が上がっていくよう、エンジンを最適化するチューニングサービスも行っています。また、需要が急増した際の柔軟なスケールアウトなど、運用面も含めサービスとして利用できるようパッケージ化し、レコメンドの業務がこれまでなかったような組織・企業で、業務が定着化していくところまでを総合的に支援するサービスとなっています。

 レコメンドと一口にいっても、その奥は深く、様々なタイプがありますが、ARSでは対象者特定型レコメンドと対象者非特定型レコメンドが実装されています。対象者特定型は顧客のID、属性、嗜好を直接指定してレコメンドをするもので、事前に対象顧客の年齢性別などの属性やゲームが好きだとか、映画が好きだとかの嗜好を把握したマスター情報を持っておき、一方でレコメンドするアイテムのコンテンツも事前に属性化し、顧客の属性とマッチする場合にレコメンドを作るものです。

対象者特定型レコメンドの例
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工藤卓哉[アクセンチュア]

Accenture Data Science Center of Excellence 北米地域統括 兼
アクセンチュア アナリティクス日本統括 マネジング・ディレクター
慶應義塾大学を卒業しアクセンチュアに入社。コンサルタントとして活躍後、コロンビア大学国際公共政策大学院で学ぶため退職。同大学院で修士号を取得後、ブルームバーグ市長政権下のニューヨーク市で統計ディレクター職を歴任。在任中、カーネギーメロン工科大学情報技術科学大学院で修士号の取得も果たす。2011年にアクセンチュアに復職。 2016年4月より現職。 データサイエンスに関する数多くの著書、寄稿の執筆、講演活動を実施。


データサイエンティストの冒険

近年、テクノロジーと数理モデルによってもたらされるアナリティクスが、ビジネスを大きく変えようとしている。データの高度な活用から次の打ち手を見出す力、アナリティクスの決定的な優位性を最前線から解説する。

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