任天堂が負の連鎖に陥っている。2014年3月期の決算予想を大幅に下方修正。期初に岩田聡社長が「コミットメント」としてきた連結営業利益1000億円を達成できず、350億円の赤字に、売上高も期初予想の9200億円から5900億円に下方修正した。営業赤字は3期連続となる見通しだ。
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特に不振が目立つのが据え置き型ゲーム機の「Wii U」で、販売台数予想を当初の900万台から280万台に引き下げた。新しいハードを安価な価格で投入し、そのゲーム機向けソフトで稼ぐという任天堂の勝利の方程式が崩れた格好だ。ハードが売れず、ハードが伸びないからソフトも出せないのだ。
世界最大のゲーム市場である米国では据え置き型ゲーム機が主流であり、売上高の7割を海外で稼ぐ任天堂にとってはWii Uのてこ入れは急務だった。ハードを米国で25%値下げしたり、人気ソフトの「ポケットモンスターX・Y」などを発売したが起爆剤にはならなかった。
対照的に、13年11月に発売されたソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の「プレイステーション(PS)4」とマイクロソフトの「Xbox One」は好調で、13年末までにそれぞれ420万台、300万台の販売を達成した。Wii Uの累計販売台数500万台を年度内に抜くとの観測さえある。
スマホも市場を侵食
任天堂の苦境の根底には市場の読み違いがある。Wii Uは長時間、ゲームを楽しむコアゲーマーも取り込もうとしたが、米国での据え置き型ゲームはシューティングゲームや戦争ゲームが多く、ヒットしているソフトには大人向けのものが多い。
任天堂は「ファミリーでも楽しめる安心感」というブランドイメージを守るため、コアゲーマー向け自社ソフトが出せず、ソフトメーカーに頼らざるを得ない。