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出口治明の提言:日本の優先順位

原発停止で燃料輸入が増えたせい?
貿易赤字の本当の原因と、その対策

出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]
【第107回】 2014年2月5日
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 1月30日、財務省は2013年の輸出確報・輸入速報を公表した。それによると、輸出は69兆7868億円、輸入が81兆2671億円で、差し引き11兆4803億円の大幅な貿易赤字となった。

 わが国では貿易赤字について、「原子力発電所が停まっているのだから、鉱物性燃料の輸入が増えて赤字になるのは仕方がない」といった一種の楽観論(?)が幅を利かしているように見受けられる。しかし、本当にそうなのだろうか。貿易赤字の内容をチェックしてみよう。

全原発停止による
押し上げ効果は4兆円程度

 まず、過去10年間の貿易収支の推移をながめてみよう。

 輸出のピークは2007年の83兆9314億円、これに対して輸入のピークは昨年で差し引きの赤字幅も昨年の11兆4803億円が過去最大となった。3年連続の釣瓶落としの状況である。このうち、全原発停止による鉱物性燃料の輸入価額の押し上げ効果は、どのくらいあるのだろうか。

 新聞報道(2013.12.18日経Web刊)によると、実は「年間で4兆円程度」(SMBC日興証券の宮前シニアエコノミスト)ということのようだから、仮に原発が再稼働しても、わが国の貿易赤字は11兆円の赤字が7兆円の赤字に減るだけで、史上最高の赤字であることに変わりはない。

 むしろ、昨年1年では、為替が21.8%も円安に振れているので、原発停止よりも円安効果の方が貿易赤字に与える影響ははるかに大きいことがよく分かる。2012年の輸入価額70兆6886億円を全てドル建てとみなして単純計算すると、21.8%円安になれば、それだけで15兆円ほど赤字が膨れ上がることになる(実際には約11兆円の赤字の増加)。

 これに対して、輸出は大幅な円安にも係らず金額ベースで9.5%しか増えておらず、また数量指数では▲1.5%と3年連続の減少となっている。昔のように円安はそれほどの輸出増には繋がらなくなっているのだ。それはなぜだろうか。

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出口治明 [ライフネット生命保険(株)代表取締役会長]

1948年、三重県美杉村生まれ。上野高校、京都大学法学部を卒業。1972年、日本生命保険相互会社入社。企画部や財務企画部にて経営企画を担当。生命保険協会の初代財務企画専門委員会委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事。ロンドン現地法人社長、国際業務部長などを経て同社を退職。その後、東京大学総長室アドバイザー、早稲田大学大学院講師などを務める。2006年にネットライフ企画株式会社設立、代表取締役就任。2008年に生命保険業免許取得に伴い、ライフネット生命保険株式会社に社名を変更、同社代表取締役社長に就任。2013年6月24日より現職。主な著書に『百年たっても後悔しない仕事のやり方』『生命保険はだれのものか』『直球勝負の会社』(以上、ダイヤモンド社)、『生命保険入門 新版』(岩波書店)、『「思考軸」をつくれ』(英治出版)、『ライフネット生命社長の常識破りの思考法』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。

ライフネット生命HP

 


出口治明の提言:日本の優先順位

東日本大地震による被害は未曾有のものであり、日本はいま戦後最大の試練を迎えている。被災した人の生活、原発事故への対応、電力不足への対応……。これら社会全体としてやるべき課題は山積だ。この状況下で、いま何を優先すべきか。ライフネット生命の会長兼CEOであり、卓越した国際的視野と歴史観をもつ出口治明氏が、いま日本が抱える問題の本質とその解決策を語る。

「出口治明の提言:日本の優先順位」

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