トランプ15%関税で日本の実質GDP「0.3%押し下げ」も、“円安効果”で景気後退は回避!?Photo:Bloomberg/gettyimages

実質GDP下押し影響は0.2%Pt緩和
輸出企業には円安の追い風

 日米関税交渉は、赤沢経済再生相にとって8回目となる訪米で決着がついた形だ。

 日本側が最重視する自動車25%に関税の引き下げに米国側が難色を示していることが報道されるなど、交渉は難航しているとの見方が強かったが、想定外の早期決着となり、投資家心理が改善、株式市場は再び活況となっている。

 日本は、「80兆円の対米投資」やコメなど米農産物などの輸入拡大、米国製の航空機、防衛装備品の購入と引き換えに、相互関税を25%→15%に、すでに実施されている自動車関税を25%→15%(既存の2.5%関税率を含む)まで引き下げる成果を得た。

 とはいえ相応に高い関税水準が維持され、第2次トランプ政権発足前と比較すれば、日本経済への下押し圧力は継続することになる点には留意が必要だが、筆者の試算では、新関税率の実質GDPへの下押し影響は▲0.3%と、当初(▲0.5%)より0.2%Pt緩和された形だ。

 いったん交渉が決着したことで、ビジネス環境を取り巻く不確実性は後退したとみられる。加えて足元の為替水準は輸出企業の収益を下支えすると予想される。7月31日に約4か月ぶりに1ドル150円台をつけた為替相場だが、このところの足元のドル円相場(1ドル=146円)でみても、製造業平均の採算円レート対比で15%の円安となっている。

 トランプ関税による景気下押しの影響は続くにしても、景気後退のリスクは弱まったと考えられる。