写真はイメージです Photo:PIXTA
「年金制度は、寡婦年金（社会全体で支えるシステム）だから、世代別、職種によって不平等が出ても仕方がない」。そう分かっていても、夫婦で暮らすための年金が「月13万円」だったらどうだろうか。おまけに収入が少ない氷河期世代の子どもたちと同居しているとしたらーー。基礎年金が底上げされても、親も子も“不幸世代コンビ”の場合、世代ガチャを恨む以外に、いったいどんな対策をとればいいのか。（生活経済ジャーナリスト 柏木理佳）
氷河期世代の年金が増えても
同居の親の年金は減る
「定年後、仕事はなく自分たち夫婦だけでもカツカツなのに、同居している氷河期世代の子ども2人と、孫1人の面倒まで見なければならない。その上、年金も減るなんて…」と嘆いている東京都内在住の佐藤幹夫さん（仮名・73歳）。
基礎年金（国民年金・厚生年金の1階部分）の給付金を底上げする法案が成立しましたが、男性63歳、女性67歳が平均的な「損益分岐点」となっています。
これを超えると逆に受給額が減少すると試算されています。佐藤さんは73歳、妻は70歳なので減少することになります。その代わり、氷河期世代などは、受給額が最大298万円増えるのです。
佐藤さんにとってみると、この基礎年金底上げ策は、たとえ、国民年金の受給額が増えるとはいえ、氷河期世代の子ども世代のために、親が我慢して年金を減らされるようなもの。
同居している子どもたちが年金を受給できるのは将来の話ですが、親はまさに今、年金を受給中です。その親の年金で、子どもたち家族の面倒を見ているため、親の年金が減ると子どもたちにも悪影響を及ぼすことになるのです。
