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海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

ようやく独立性を確立したミャンマー中央銀行
求められる人材育成とサービス業への変革

杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]
【第14回】 2014年2月20日
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前回、ミャンマーにおける過去の金融行政と、それによって生じた社会混乱についてお伝えした。金融システムに対する根強い不安とサービスの遅れは、ミャンマー経済における数多くあるボトルネックのなかでも、社会の仕組みの根底を揺るがすほど、影響の大きいものだ。今回は、現在のミャンマーにおいて、各銀行が直面している課題は何かについて見ていきたい。

独立性の維持から程遠かった
ミャンマー中央銀行

 日本においては、銀行等の金融機関の監督は、昔であれば大蔵省、今では金融庁といった機関が主要な役割を果たしている。一方で、東南アジアの多くの国においては、中央銀行が金融機関に対するコントロールを行っている場合が多い。ミャンマーにおいても、金融機関の監督を担うのは、主にミャンマー中央銀行になる。

 ミャンマーの中央銀行は、1990年のミャンマー中央銀行法(Central Bank of Myanmar Law)に基づき、財政歳入省の下に位置付けられていた。この意味することは何だろうか。

 中央銀行は、その立ち位置として、どれだけ独立性を維持できるかが重要な論点になる。中央銀行の重要な役割は、「物価の安定」だ。一方で、過去の多くの例にもある通り、中央銀行は政治からの圧力を受けてどんどんお札を刷り、その結果インフレを招く事態を起こしやすい。特に選挙の前には、市中への資金流入を高めて、景気を引き上げようとしがちだ。

 その結果、物価水準の安定性が損なわれ、結果としてインフレや、資産バブルにつながる場合もある。それを防ぐために、中央銀行をいかに政治的圧力から切り離すかが重要になり、そのために中央銀行の独立性が求められているのだ。

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杉田浩一 [株式会社アジア戦略アドバイザリー 代表取締役]

すぎた こういち/カリフォルニア大学サンタバーバラ校物理学及び生物学部卒。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)経済学修士課程卒。15年間にわたり複数の外資系投資銀行にて、海外進出戦略立案サポートや、M&Aアドバイザリーをはじめとするコーポレートファイナンス業務に携わる。2000年から2009年まで、UBS証券会社投資銀行本部M&Aアドバイザリーチームに在籍し、数多くのM&A案件においてアドバイザーを務める。また、2009年から2012年まで、米系投資銀行のフーリハン・ローキーにて、在日副代表を務める傍ら東南アジアにおけるM&Aアドバイザリー業務に従事。2012年に、東南アジアでのM&Aアドバイザリー及び業界調査を主要業務とする株式会社アジア戦略アドバイザリーを創業。よりリスク度の高い東南アジア案件において、質の高いアドバイザリーサービスの提供を目指してASEAN各国での案件を遂行中。特に、現地の主要財閥との直接の関係を生かし、日系企業と現地企業間の資本・業務提携をサポートしている。ミャンマーにおいては、大手事業会社、総合商社、金融機関等の進出戦略立案及びその実行サポートに携わる一方で、2012年よりダイヤモンド・オンライン(Diamond Online)にて、3年間にわたり人気コラム『ミャンマー その投資ブームは本物か』『海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線』を連載。


海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線

民主化へ舵を切り、欧米の経済制裁が解除されたことで、世界中の企業の耳目が集まるミャンマー市場。具体的な民主化政策の実行からわずか1年で、会社法や外国投資法など進出する企業にとって重要な法律が施行され、市場として環境が整い始めた。本連載では、企業進出の現場から何が具体的な問題点なのか、またそれを乗り越えるようどのような努力が現在なされているのかについて見ていきたい。「ミャンマー その投資ブームは本物か」に続く、連載第2弾。綿密な現地取材をもとに、ミャンマービジネスの最前線を追う。

「海外戦略アドバイザー杉田浩一が徹底解説 ミャンマービジネス最前線」

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