東鉄工業は、東日本エリアを中心に線路・土木・建築・環境といった多様な分野を手掛ける鉄道系ゼネコン。鉄道インフラ特有の高度な技術力に圧倒的な強みを持ち、安定性と発展性を兼ね備えた存在として業界をリードしている。
東鉄工業伊勢勝巳 代表取締役社長
東鉄工業は、鉄道関連設備の建設・保守を得意とするゼネコンとして、80年以上にわたり日本の鉄道インフラを支え続けてきた。
1943年に設立された同社は、戦時下で傷んだ鉄道網の復旧を出発点として発展、「~安全はすべてに優先する~」を経営理念に掲げ、安全で快適な交通ネットワークと社会基盤の創造に貢献。鉄道設備の保守に関わる業界団体「全国軌道業協会」の会長職を、同社の歴代社長が務めるなど、業界をけん引する存在だ。
マルチプルタイタンパ コックピット内
鉄道復旧を原点に使命を貫き
社会基盤を守る
2025年6月に就任した、伊勢勝巳・新社長は語る。
「創業の原点は、壊れた鉄道を直し、日本の大動脈を守ることでした。その使命は今も変わりません。安全で快適な鉄道インフラという『社会の当たり前』を支えることこそが、私たちの誇りです」
同社の事業は「線路」「土木」「建築」「環境」の4部門に分かれる。最大顧客のJR東日本に加え、公民鉄からも多くの工事を受注しており、幅広い鉄道インフラを支えている。
線路事業のうち、線路メンテナンス工事は国内最大規模のシェアを誇る。これは線路の修繕やレール・枕木の交換などを通じて、列車を安全に走行させるために欠かせない重要な保守工事である。
新幹線レール交換システム(通称:REXS)。新幹線のレール交換を効率的に施工する世界で唯一の車両群を保有し、機械化施工を推進
土木事業では高架橋やトンネル、ホームドア工事、防災・耐震補強工事を数多く手掛ける。
建築事業では、駅舎の新築といった駅関連施設はもちろん、線路近接という難度の高い建物の建築からマンション、ホテル、商業施設、工場・倉庫まで幅広く受注している。
環境事業では、環境負荷を低減する緑化や太陽光発電・ZEB(ゼブ。エネルギー消費ゼロを目指す建物)化なども手掛けている。
駅直結の地上10階建て商業施設併設型複合賃貸マンション(ekismさいたま新都心)
伊勢社長は続ける。
「工事においても環境への配慮が大切です。バイオ燃料や水素技術を活用した建設機械の運用など、環境に優しい施工方法の導入に取り組んでいます。鉄道自体がエコな乗り物ですが、さらに環境負荷を低減できる余地は大きいと考えています」