ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside Enterprise

条件付き承認で普及に足かせ
富山化学インフル薬の“無念”

週刊ダイヤモンド編集部
2014年2月25日
1
nextpage

 「商業的には明らかな失敗作」。富士フイルムグループの富山化学工業が開発した抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」を、大手製薬幹部はこう断じる。厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は2月上旬にアビガンの製造販売の承認を了承、3月にも正式に承認される見通しだ。

富山化学の「アビガン」は当初、「ポスト『タミフル』」といわれる“期待の新薬”だった
Photo by Takeshi Yamamoto

 承認間近にもかかわらず、富山化学関係者は「無念」とうめく。異例ともいえる厳しい承認条件がつき、一時は「ポスト『タミフル』で年間売上高は数百億~1000億円級になる」と期待されたものが、「めったなことでは使わないクスリ」に成り果てたからだ。

 その適応対象は「新型または再興型インフルエンザ感染症」で、「他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なものに限る」というただし書きがつく。つまり、「パンデミック」と呼ばれる新型インフルエンザなどの大流行に備えるためのクスリであり、通常の季節性インフルエンザの治療には使わないということだ。当面、医療機関には流通せず、政府にパンデミック対策の備蓄用で販売するのみとなる。

安全面でけちがついた

 富山化学が承認申請したのは、2011年3月。通常、申請したクスリが審査される期間はおよそ1年だが、アビガンは3年を要している。

 当局が慎重になったのは、ヒトで行う臨床試験前に実施した動物による安全性試験で胎児に奇形が生じる可能性が認められたためだ。

 標準的な治療薬となっているタミフルでも、かつて副作用とみられる患者の異常行動が社会問題化した。そんな中、1960年代に投与した妊婦に奇形児が生まれて大規模な薬害事件となったサリドマイドのような悪夢が1例でも発生すれば、当局は責任を問われかねない。

1
nextpage
関連記事
スペシャル・インフォメーションPR
ビジネスプロフェッショナルの方必見!年収2,000万円以上の求人特集
ビジネスプロフェッショナルの方必見!
年収2,000万円以上の求人特集

管理職、経営、スペシャリストなどのキーポジションを国内外の優良・成長企業が求めています。まずはあなたの業界の求人を覗いてみませんか?[PR]

経営課題解決まとめ企業経営・組織マネジメントに役立つ記事をテーマごとにセレクトしました

クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside Enterprise

日々刻々、変化を続ける企業の経営環境。変化の中で各企業が模索する経営戦略とは何か?『週刊ダイヤモンド』編集部が徹底取材します。

「inside Enterprise」

⇒バックナンバー一覧