経営のためのIT
【第12回】 2014年3月3日
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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

【サステナビリティとIT】
顧客に価値を提供し続ける企業に求められること

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環境対応にとどまらない包括的な持続可能性が、企業経営の健全性を示すひとつの尺度として注目されており、「サステナビリティ」が企業経営の重要なキーワードとなることが予想される。自社におけるサステナビリティの状況を見える化するには、ITの活用が欠かせないものであり、全体最適の視点で評価指標を設定することが求められる。

企業にとっての
サステナビリティの意味

 「サステナビリティ(持続可能性、sustainability)」は元々、水産資源をいかに減らさずに最大の漁獲量を得続けるかという、資源評価の専門用語であった。その後、化石燃料、食糧や森林といった地球資源および生態系全般の維持、地球温暖化などの環境保全を含む幅広い概念として普及した経緯がある。

 そのため、サステナビリティというと地球温暖化対策などの環境側面を中心に語られることが多く、企業経営におけるサステナビリティについても、事業活動におけるCO2排出量の抑制や、エネルギー問題への対応といった環境対応に関する取り組みがクローズアップされる傾向にある。

 しかし、持続可能な企業であるということは、顧客、取引先、株主、従業員といった全方位的なステークホルダーに対して継続的に価値を提供し続けること、そして、それに加えて地域、社会および地球の秩序を守り、資源や環境を保全し、何らかの価値を還元し続けることが重要となる。

 つまり、「企業のサステナビリティ」という場合には、環境の側面の他に、企業が利益を挙げ、将来においても顧客に製品やサービスを供給し続けるという財務的な側面、社会に受け入れられ、何らかの貢献をし、そして価値を還元するという社会的な側面を包括的に含む。

 これは逆説的にいうと、粗悪品を販売する、法律に違反する、従業員が安心して働けない、株主に損失を与え続ける、有害物質を垂れ流す、地域の住民といつも係争している、納税義務を適正に果たしていないといった企業は、企業の存在意義や存在価値という観点から大きな問題を抱えており、持続可能な企業とはいえない。

 持続可能な企業となるために、企業は、「経営理念と企業風土」および「コーポレート・ガバナンス」を土台とし、企業活動の遂行において、「学習と成長を促す健全な組織運営」「適切なコミュニケーションと業務プロセス」「顧客・取引先との良好なリレーション」に取り組み、その結果として「健全な収益構造と財務体質」を保たねばならない。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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