経営のためのIT
【第11回】 2014年2月18日
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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

【戦略としてのIT導入と活用】
先進企業はどうやってビジネスモデルを変えてきたのか

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IT投資の可否判断や優先順位を検討する際、あるいはITによる経営や業務に対する効果および貢献度を評価する際には、目的に応じた種別に分類して論じることが望ましい。
今回は、ITの役割を層別に捉え、そのなかでも経営者への説明が困難な「戦略としてのIT」を目的とした投資について事例を示しながら解説する。

層別に捉えるIT投資

 企業はこれまでもさまざまなIT投資を行ってきたが、今後もビジネスにおけるITの重要性が高まることが予想され、さらなる業務効率化や競争優位性確保のためにIT投資が行われるであろう。

 一方、一部の経営者は、適正な投資判断を行えるだけの十分な知識をもっておらず、またIT部門は、投資目的や効果を経営者に的確に説明することに困難を感じている。企業におけるITの活用は多方面に及んでおり、ITが果たす役割も多岐にわたっている。こうした目的や種類の異なるIT投資を1つの尺度で捉えることは、困難であるばかりか誤った判断を下す原因となりうる。

 前回の「ITの貢献度:ITの可能性と限界を共有するために必要な客観的視点」では、経営へのインパクトという視点からITを5つの種別に分類したが、活用や投資における目的別に整理すると図1に示す3つの層で表現できる。

 最下層は、「参戦する資格としてのIT」であり、利用しなければ経済活動や企業競争に参加できないと考えられるほど必要性が高いもので、ビジネスインフラといい換えることもできる。

 第2層は、「戦う武器としてのIT」であり、経営や事業からの要請に応じて、効率、スピード、品質、精度などの向上や、業務コストの削減に用いられるITである。また、このなかには経営の舵取りや意思決定のためのモニタ計器としてのIT、知識の共有や計画精度の向上を支援するITといった“攻めの武器”と呼べる高度なIT活用も含まれ、これらは戦略的IT投資として位置づけられることが多い。

 そして最上層は、「戦略としてのIT」であり、ITが経営・事業・業務に改革や変革を促したり、企業に新たな付加価値をもたらしたりするものである。この最上層には、長期に及ぶ投資を要するものや、すぐに目に見える効果が表れにくいものが多く、経営者にとって理解や判断が困難な領域といえる。

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内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は大手ユーザー企業のIT戦略立案・実行のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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