いま、書籍の世界では、「要約」を読んでから本を買う、そんな流れが浸透しつつある。
「getabstract」は、1999年にアメリカで始まった、書籍の要約(abstract)を販売するサイトだが、すでに会員は1000万人を突破。書籍流通の一翼を担うまでに成長している。会員は、まず要約を読んで本の全体像を把握。自分に合う内容だと判断すれば、実際に購入に踏み切る。アメリカのエリートたちが、多忙にもかかわらず大量の書籍を読み込んでいる背景には、こういった要約サービスの存在があるのだ。
その流れを受け、日本でも同様のサービスが増えてきている。その一端は、本コラムでも紹介したが、ここへ来てさらに多彩な要約サービスが登場している。
「flier(フライヤー)」は“10分で読める要約”をキャッチフレーズにするサービス。本の要約を5ページの“読み物”にしているのが特徴だ。概要をまとめた「推奨ポイント」、要点を簡潔に示した「3つの重要ポイント」、4ページに渡る「ハイライト(要約)」、革新性・明瞭性・応用性で採点される「評点」、そして「著者情報」からなるファイルをPDFで提供している。スマホやタブレットにも対応しているので、通勤や仕事のスキ間を活用して試し読み。気に入れば、サイト上から購入すればいい。
筆者も十数冊の要約を読んでみたが、タテ書きのコラム風になっているため、想像以上にスラスラと読める。書籍のエッセンスを抽出しながら、全体像と要点がわかる構成になっており、伝え方がうまいと感じた。
このフライヤー、運営に携わるメンバーは全員が元経営コンサルタント。情報を分析し伝達するプロの手による作業とあって、クオリティの高さを売りにしている。
「“この本の何が重要なのか”というポイントを捉え、表現するためには、各領域のプロフェッショナルが執筆することが極めて重要です。そのため、ビジネス書は経営コンサルタント出身者が担当しています」(フライヤーの苅田明史氏)