2030年のビジネスモデル
【第17回】 2014年3月13日
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齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

「ポジティブ福祉」が始まる

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福祉とクラブカルチャーを掛け合わせたイベント「ソーシャル・ファンク」
Photo: Ubdobe

福祉とクラブカルチャーを掛け合わせる

 介護・福祉界にポジティブな新風を巻き起こす革新者がいる。NPO法人Ubdobe(ウブドベ)の代表、岡勇樹さんだ。

 岡さんは、福祉とクラブカルチャーという異質な世界を掛け合わせる。渋谷のクラブで、DJやライブの合い間に、いきなり高齢者介護や障がい者福祉のトークをはさむイベントを仕掛ける。常識的にみて、この組み合わせはミスマッチだ。ふざけているのだろうか?

 いや、岡さんは、普段福祉の世界にあまり関係ない若者を巻き込もうとしている。福祉というのは、何も真面目な顔をして世のため人のために苦しい作業をしなければならない職業だと決まったわけではない。笑いがあり、感動があり、驚きがあるもっと楽しい世界であることをメッセージしようとしている。

 福祉の世界を再定義することによって、もっと多くの人たちが福祉へアクセスし、自分も楽しみながら人助けもしてしまうような新しい福祉の世界を創造しようとしている。

 2025年頃、日本の要介護者は今の2倍になると推計されている。これに対し、介護職員が2倍になる見込みは、残念ながらない。供給は追い付かず、このままでは介護難民の増大も危惧される。

 介護や福祉の職場は3Kと言われている。介護という職業は、最初から自らその道を選んで入って来る人たちばかりではない。就職担当窓口の現場では、就職試験で何十社も受けて失敗した人に対し最後に切るカードみたいなところさえ現実にはあるという。最初から屈折した気持ちで介護や福祉業界に入ってきて、使命感を感じ、仕事を楽しむことは難しい。悩みがあっても、福祉業界は一般に縦割りで、働く人たちの横のつながりも作りにくいという。

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齊藤義明[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

facebookページ:https://www.facebook.com/yoshiaki.saito.1042

 


2030年のビジネスモデル

未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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