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認められたい私、認めてくれない社会~「承認不安時代」の生き方~

なぜ人はネットワークビジネスに騙されてしまうのか

梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]
【第14回】 2014年3月12日
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「強迫観念にとらわれたかのようにメールの返信を急ぐ人」、「せっかく一流企業に入ったのに辞めて、所得を減らしてでも自分らしい職場を探す人」……。一見不可解な行動。こうした行動に駆り立てる原因を探っていくと、「認められたい」という思いに行きつくことが少なくない。現代において私たちを悩ませる最大の問題は、経済的不安ではない。「認められない」という不安なのだ。そこでこの連載では、「“認められない”という名の格差」を考えていこうと思う。

詐欺師に騙されるのは
バカだから?騙される方が悪い?

 さて、今回は承認欲求と関係ない話から始めようと思う。最近、話題になっている映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」を観たのだが、これがめっぽう面白い作品だった。グロテスクな表現も多いので万人にはお勧めできないものの、3時間という上映時間をまったく感じさせない内容だった。お金やビジネスに興味がある人なら観て損はないかもしれない。この映画は、アメリカに実在するブローカーによる自伝を元に、相場操縦や詐欺まがいのペニー株の販売でのし上がり、ついに当局に逮捕される男の話を描いている。騙しのプロによる人を引き付ける話術や、それを駆動させる人々の欲望には、戦慄を越えて一種の潔ささえ覚えた。

 しかし、アメリカほどの金融社会じゃなくても、ここ日本でも詐欺まがいの商材の販売や、ネズミ講やネットワークビジネス関連で利益を上げる人も多い。騙す人のモチベーションは嫌になるほどよくわかるのだが、一方で騙される人の数の多さにも驚く。僕は映画を観たあと、「なぜ私たちはああも簡単にうさんくさい詐欺師に騙されてしまうのか?」ということを考えていた。「バカだから」、「騙される方が悪いから」などという意見も耳にするが、そんな単純に切り捨てて良いものだろうか。

 現代はこれだけ情報がそろっている。インターネットもスマートフォンもある。自分は騙されているかもと思えば、すぐにでも情報を調べることができる。それなのに、真偽を調べることが可能なインターネット上でも被害は出続けているのだ。これは何だろうか?

 また、ネットワークビジネスと関係ないが、世の中には人種差別的な発言を繰り返す「ネトウヨ」という新しいタイプの人たちが現れてきている。一方で、原発や放射能の影響を過度に心配する「放射脳」と呼ばれる人たちも出てきている。

 「ネトウヨ」、「放射脳」、そしてネットワークビジネスの被害者も含めた彼らに共通するのは、「自分に都合の良い情報しか得ようとしない」という点だ。確かに、現代社会は情報にあふれていて、すべての情報を得ようとすると、それこそ精神を病んでしまいかねない。そこで人々は、自分にとって必要な情報のみを得ようとするのだが、しかし、「真実を意図的に見ないようにしている人」も多いように思われる。なぜそうなってしまうのか。

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梅田カズヒコ [編集・ライター/プレスラボ代表取締役]

ロスジェネ世代(1981年生)の編集・ライター。フリーライター、編集プロダクション勤務を経て2008年より株式会社プレスラボを起ち上げる。著書に『エレベスト』(戎光祥出版)。web上のニュースサイト「下北沢経済新聞」編集長。「GetNavi」(学研)誌上で『コンビニ研究室』連載中。他に「日経トレンディネット」「COBS ONLINE」「R25」「サイゾー」など主にネット媒体で執筆中。起業したのは旺盛な独立心と言うよりも、むしろサラリーマンの職場における煩わしい人間関係から逃げるため。
ツイッター:@umeda_kazuhiko


認められたい私、認めてくれない社会~「承認不安時代」の生き方~

「強迫観念にとらわれたかのようにメールの返信を急ぐ人」、「ランチを一緒に食べる友達がいないと思われるのがイヤで、トイレでご飯を食べる人」……。オジサンには一見不可解な現代の若者に特徴的なこれらの行動。こうした行動を駆り立てる原因を探っていくと、彼らの「認められたい」という思いに行きつく。この連載では、「承認」をキーワードに、特に若者の間で広がる現代社会の生きづらさの正体を考える。

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