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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

寄付集めの“常識”を根底から覆す!
「丁寧な活動報告」より、
「PRしたもん勝ち」という新事実

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第108回】 2014年3月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
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 今年もまた日本ファンドレイジング協会から『寄付白書』がリリースされた。2013年度版である。調査実施が2013年なので、2012年の寄付の実態が明らかにされている。

いまの日本人の
「本当の社会貢献意識」とは? 

日本ファンドレイジング協会発行の『寄付白書2013』。寄付に関する包括的な日本唯一の年次レポート。

 「寄付」というと、「ああ、NPOの人たち向けのものだね」と感じるかもしれないが、それは間違いだ。NPO経営者やファンドレイザーだけなく、CSR関係者や社会起業家など、社会貢献に関わるすべての人が、この「寄付白書」をチェックして、日本の寄付市場の動向を把握しておくべきだと思う。なぜならそこには、いまの日本人の「本当の社会貢献意識」が表れているからだ。

 人の本当の価値観は「お金」と「時間」と「空間」の使い方に表れる。たとえば、口では社会貢献を説いていても1円も寄付しないとか、1分たりともボランティアしない人は、実は社会貢献に価値を置いていないわけだし、逆の場合もある。口では社会貢献に否定的なことを言っていても、実際にはチャリティ・イベントに参加したり、東北の被災地にボランティアに行ったりしている人もいる。そのような人は、実際には社会貢献という価値観を持っていることになる。

 いつも言っていることだが、意向調査と実態が乖離していることはよくあることだし、しかも「お金」「時間」「空間」の使い方はウソをつかない。ファッションに価値を置いていない人間が、ブランド物のスーツを買うことはまずあり得ないし、AKBグループを応援することに全く興味のない人間が、同じ曲のCDを何百枚も(握手券や総選挙の投票権目的で)購入することもないだろう。

 そもそも寄付というものは、「社会貢献という価値」に対して、実際にどれだけのお金を人々が使ったかの結果である。つまり、生活者の本当の(社会貢献に対する)消費行動、消費の価値観を表している。そのため、たとえ寄付モデルに頼らないソーシャル・ビジネスを志向している社会起業家やNPO経営者であっても、寄付市場の動向は把握しておくべきなのだ。

なぜ日本の寄付市場が
拡大したのか?

 というわけで、『寄付白書2013』に話を戻そう。今回のハイライトは何と言っても個人寄付の動向だ。第82回でもお伝えしたが、(東日本大震災の震災寄付を除く)日本の個人寄付は、2011年までは約5000億円あたりで推移してきた。それが2012年には6931億円に増加している。2011年の数字が約5182億円だから、対前年比で約133%、約1750億円の伸びである。寄付した人の数は約4759万人で、15歳以上人口の46.7%。ざっと半分近くの人が寄付したことになる。

 ちなみに、同年の法人寄付は約7168億円(2011年度分財務統計より)。総法人数の20%が寄付を行なっている。これはつまり、個人、法人ともに約7000億円の寄付を行なったことになる。合計で約1兆4000億円。これまで、日本の寄付市場は約1兆円と考えられてきたので、けっこうな成長ぶりだといえる。

 ではなぜ、寄付市場が伸びたのか。その理由は寄付白書のデータからは残念ながらわからない。東北の震災の影響で「社会とのつながり志向」が高まっている傾向はたしかにあるが、対前年比で130%を越えるほどの盛り上がりを見せているわけではない。また、クラウド・ファンディングなどの新しい寄付の方法が登場しているものの、2000億円近い市場拡大に寄与するほどのパワーもまだない。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

「社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭」

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