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日本の技術者を使い捨てる韓国企業から身を守れ!
SKハイニックス事件に見る情報漏洩の現状と教訓

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第319回】 2014年3月25日
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 2月中旬、警視庁は米国の大手半導体メーカーであるサンディスクの元社員を、東芝の半導体関連のデータを韓国企業に漏洩した疑いで逮捕した。それに伴い東芝は、機密技術の漏洩先とされる韓国のSKハイニックスに損害賠償を求める提訴を行った。

 また3月に入り、サンディスクも元社員の転職先である韓国のSKハイニックスに対し、損害賠償や一部製品の販売差し止めを求める訴訟を、カリフォルニア州の裁判所に起こした。それによって、日米韓の有力半導体メーカーが関与する、国際的な機密情報漏洩事件に発展することになった。

 今回は、熾烈化するグローバル競争と企業の情報漏洩問題について、改めて検証したい。

提携企業の元社員が東芝の技術を漏洩
終わらないSKハイニックス訴訟の行方

 かつて東芝とサンディスクは、半導体の開発などで提携関係にあった。同容疑者はサンディスクの社員として、東芝の四日市工場内でNAND型半導体に関する機密の研究データにアクセスできる立場にあった。

 彼はその立場を利用して、データを自分のUSBにコピーして持ち出したと見られる。その後、同容疑者はサンディスクを退社し、韓国のハイニックス半導体(現・SKハイニックス)に入社した。SKハイニックスでは、東芝の工場でコピーしたデータを漏洩した疑いがあるという。

 今回の技術漏洩事件の背景には、いくつもの要素が複雑に絡んでおり、1人の技術者が先端の半導体データを持ち出して、それをライバル企業に渡したというだけの話に止まらない。最も重要なポイントは、先進国の企業を追いかける立場にあった韓国や中国などの企業にとって、米国やわが国企業の先進技術が垂涎の的ということだ。

 先進の技術が漏洩されることは、常識的に考えても許されるべきものではない。特に、今回漏洩の対象になったのは、半導体関連の最も進んだ技術に関するものと言われている。具体的には、主にNAND型フラッシュメモリに使われる、絶縁体に関する研究データだ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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