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「学歴フィルター」の弊害と対策

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第323回】 2014年4月2日
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企業が大学で就活生に差をつける
「学歴フィルター」の存在理由

 「学歴フィルター」とは、新卒大学生の採用にあって、企業側が大学別に差を付ける行動を指す。『朝日新聞』(3月30日)が一面トップの見出しに堂々と使うくらいだから、少なくとも関係者には広く知られた言葉なのだろう。

 たとえば、昨年12月に企業Xが採用説明会への参加申し込みをネットで受け付け始めた直後のタイミングで、大学Aの学生が申し込もうとすると、全日程が「満席」表示で断られ、他方でその少し後に別の大学Bの学生が申し込もうとすると空席がある、といった現象が起きる。一般に、大学Bの方が大学Aよりも、いわゆる「偏差値」が高い入学が難しい大学だ。

 選考プロセスに入れてもらえずに門前払いされた大学Aの学生は、さぞ悔しい思いをしたことだろう。

 企業は採用選考の際に、出身大学による差を付けないことが対外的な建前になっている。

 一方で企業側には、特に学生に人気のある大企業の場合、学生から数千~数万通の応募が来る。ネットでの申し込みが一般的になり、1人で100社以上の申し込みをする学生もいるので、必然的にこうなる。全員に手間をかけて選考を行うことは、もともと無理なのだ。

 そこで企業自ら、あるいはデータによる学生のフィルタリングを専門とする業者を下請けに使って、主に大学名で学生を振り分けることになる。

 どの学校・学部の学生が欲しいかはっきり明示する方が、学生・企業の双方にとって率直で効率的な面があろう。しかし企業側では、1つには自社が「オープンでフェアな会社だ」と対外的にアピールしたいことと、もう1つには自社の既存の社員のモチベーションを考えると、特定の大学の名前をはじめから外すのははばかられる。

 新卒学生を受け入れる大学を、企業に事前に対外的に宣言・公開させるのは、たぶん無理だろう。今後も、大学名だけで落とされる学生が相当数いる状況は変わらないだろう。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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