わが家が今のタワーマンションに入居して8年を迎えた。このタワーマンションは東京の東部地域では当時最高級と言われ、売り出しの時から大人気を集めた物件だ。最高級かどうかについては実感がわかないので何とも言えないが、便利さにおいてはかなり評価していいと思う。

高級路線で撤退したスーパー

 オフィスタワーと居住用のタワーという2棟の40階以上の高層ビルが肩を並べるかのように立っているが、その2つの建物を一体としているのは広い商業施設だ。その商業施設の地下1階には、東急ストアというスーパーが8年間入っていた。雨や雪の日でも、あるいは暑い日、寒い日でも、室内で着ている普段着のままで買い物に行ける。極端に言えば、料理をする最中に、葱や生姜などが足りないのに気付いても間に合う。ビルを下りればすぐに買える。その便利さを体験したら、他のところには住めなくなると思うほどの依存症にかかってしまう。

 600世帯以上の比較的所得の高い住民をその便利さで虜にすることができるので、東京の東部地域としては珍しく東急ストアがマンションの入居開始に合わせて進出してきた。東急電鉄沿線の高級感の息吹がするということで、マンションの住民も自慢していた。

 しかし、実際に付き合ってみると、それほど時間が立たずに東急ストアのビジネスモデルに住民がついて行けなくなった。一言で言えば、値段設定が高かった。台所事情に疎い私は細かい価格のことはあまり知らないが、自分でも時々買うピザを見ると、公園を挟んだ駅側にあるピザ屋さんより3割ほど高くなっている。男性より価格にもっと敏感な主婦たちは、間もなくマンションから5分ないし10分ほどのところにあるスーパーなどで買いものを済ませるようになった。