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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

高級路線で撤退を余儀なくされたスーパーと
庶民路線で顧客を呼び戻したスーパーの教訓

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第200回】 2014年4月3日
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 わが家が今のタワーマンションに入居して8年を迎えた。このタワーマンションは東京の東部地域では当時最高級と言われ、売り出しの時から大人気を集めた物件だ。最高級かどうかについては実感がわかないので何とも言えないが、便利さにおいてはかなり評価していいと思う。

高級路線で撤退したスーパー

 オフィスタワーと居住用のタワーという2棟の40階以上の高層ビルが肩を並べるかのように立っているが、その2つの建物を一体としているのは広い商業施設だ。その商業施設の地下1階には、東急ストアというスーパーが8年間入っていた。雨や雪の日でも、あるいは暑い日、寒い日でも、室内で着ている普段着のままで買い物に行ける。極端に言えば、料理をする最中に、葱や生姜などが足りないのに気付いても間に合う。ビルを下りればすぐに買える。その便利さを体験したら、他のところには住めなくなると思うほどの依存症にかかってしまう。

 600世帯以上の比較的所得の高い住民をその便利さで虜にすることができるので、東京の東部地域としては珍しく東急ストアがマンションの入居開始に合わせて進出してきた。東急電鉄沿線の高級感の息吹がするということで、マンションの住民も自慢していた。

 しかし、実際に付き合ってみると、それほど時間が立たずに東急ストアのビジネスモデルに住民がついて行けなくなった。一言で言えば、値段設定が高かった。台所事情に疎い私は細かい価格のことはあまり知らないが、自分でも時々買うピザを見ると、公園を挟んだ駅側にあるピザ屋さんより3割ほど高くなっている。男性より価格にもっと敏感な主婦たちは、間もなくマンションから5分ないし10分ほどのところにあるスーパーなどで買いものを済ませるようになった。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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