不登校傾向にある小中学生は、小学校入学前の幼少期に保護者がしつけなどを厳しく意識してきた家庭に多い――。
こうした結果が、宮城県石巻市教委が保護者を対象に行ったアンケート調査から明らかになった。
その一方、東日本大震災の最大の被災地である石巻市が、不登校の仕組みを解明するため、母親の愛情不足や家庭の子育てに問題があるという前提でアンケートをとること自体、保護者から「親を亡くした家庭への配慮がない」などと批判を浴び、市教委も謝罪している。とはいえ、不登校の原因と家庭の養育状況の因果関係を把握しようとした調査で、市教委側の予想とは逆の結果がデータ上で示されたことに、関係者は衝撃を受けている。
宮城県内ワースト1の石巻市
保護者調査では10%超が不登校に
文科省の調査によると、宮城県では2012年度、とくに中学校の不登校生徒が2056人に急増(前年度より142人増加)。不登校出現率が3.14%に上り、全国ワースト1となった。
不登校者の追跡調査を行っている宮城県教委は、急増の原因について、担任教諭らへの調査から「震災の影響が少なからずある」と分析している。
一方、石巻市は、2012年度の小学校の不登校出現率が0.57%。中学校では4%強の100人に4人以上という、ワースト1の県内でもさらに「高い出現率」(市教委)となった。
震災前に比べると、やはり石巻市も不登校出現率が「微増」傾向にあるというものの、「震災の影響かどうかは判断できない」(市教委)という。ただ、それは「担任の目から見た」前提であるため、目には見えにくい子どもたちの“こころの内面”まではわかりにくく、今後の影響が懸念されている。
そんな石巻市内で、市教委は今年1月14日、小学5年生と中学2年生を市内の学校から3校ずつ計6校をランダムに抜け出し、初めてとなる不登校調査の保護者向けアンケートをクラスで配布。封筒に封をして担任教諭に提出を求める無記名方式で、9割近い480件ほどの世帯から回収した。
市教委によると、そのうち1割を超える50件ほどの家庭で、不登校傾向にあることがわかったという。
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