ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え
【第8回】 2014年4月7日
著者・コラム紹介バックナンバー
岸見一郎 [哲学者]

【原田曜平×岸見一郎 対談】(後編)
空気の読めない若者が時代の空気を変えていく

1
nextpage

“青年”が“哲人”に悩みや議論をふっかける対話形式でアドラー心理学のエッセンスが語られる『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)。しかし、その読者は、“青年”ではない30代、40代が中心なんだそうです。若者以外の世代は、何を求めてこの本を手に取るのでしょうか。そして、今の若者はこの先どんな社会をつくっていくのでしょうか。『嫌われる勇気』×『ヤンキー経済』コラボ対談、いよいよ最終回です。(構成:稲田豊史)

70年代から指摘されている
日本人の空気読み

岸見一郎(以下、岸見)『嫌われる勇気』は30代、40代を中心に読まれているそうです(対談の行われた2014年3月時点でのデータ)。彼ら世代は板挟み状態と言いますか、上の年代と自分たちは違うという自負があるいっぽうで、自分たちより若い世代たちほど自由には生きられないとも感じています。

原田曜平(はらだ・ようへい)
1977年東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、(株)博報堂入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、現在、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。多摩大学非常勤講師。2003年JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。専門は若者研究で、日本およびアジア各国で若者へのマーケティングや若者向け商品開発を行っている。著書に『近頃の若者はなぜダメなのか』『さとり世代』などがある。

原田曜平(以下、原田) 当の“青年”である10代、20代の若い子は、あまり本を読まないですよね。ただし、人生に対する不自由さは絶対に抱えているので、本の意義がうまく伝われば、きっと若い子も手に取ると思いますよ。

岸見 僕のところに直接届くメールの感想やAmazonのカスタマーレビューなんかを拝見していると、年齢を問わず、自分が何について悩んでいたかを『嫌われる勇気』を読んではじめて気づく、という方が多いようです。

原田 やはり、日本人が普遍的に持ちたいと思っているのが、「嫌われる勇気」なのではないでしょうか。

岸見 会田雄次さんの『日本人の意識構造』が1972年に、山本七平さんの『「空気」の研究』が1977年に出版されています。前者は、気配りや思いやりを日本人の特質としてとらえ、後者は、”空気”が絶対的なものとして存在し、人を支配することの問題点を指摘しています。空気を読まないことは、昔から批判されているのです。
 言葉を発さなくても相手の気持ちがわかるなら、それはたしかに美徳でしょう。しかし実際、他人の気持ちはそうそう分かるものではない。しかも、「他の人が何を考えているか、黙っていたとしても察して分かるべきだ」という人は、「他の人も、私が何も言わなくても、私が何を考えているか察して分かるべきだ」と期待したり、強要するところが問題だと思います。

1
nextpage
スペシャル・インフォメーションPR
ダイヤモンド・オンライン 関連記事
自分の時間を取り戻そう

自分の時間を取り戻そう

ちきりん 著

定価(税込):本体1,500円+税   発行年月:2016年11月

<内容紹介>
生産性は、論理的思考と同じように、単なるスキルに止まらず価値観や判断軸ともなる重要なもの。しかし日本のホワイトカラー業務では無視され続け、それが意味のない長時間労働と日本経済低迷の一因となっています。そうした状況を打開するため、超人気ブロガーが生産性の重要性と上げ方を多数の事例とともに解説します。

本を購入する
ダイヤモンド社の電子書籍
(POSデータ調べ、11/20~11/26)


注目のトピックスPR


岸見一郎[哲学者]

きしみ・いちろう/1956年京都生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの“青年”のカウンセリングを行う。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。


嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え

フロイト、ユングと並ぶ心理学界の三大巨頭とされながら、日本では無名に近いアルフレッド・アドラー。彼はトラウマの存在を否定したうえで、「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」と断言し、対人関係を改善する具体策を示してくれます。まさに村社会的空気のなかで対人関係に悩む日本人にこそ必要な思想と言えるでしょう。本連載では、アドラーの教えのポイントを逐次解説することでわかりやすく伝えます。

「嫌われる勇気──自己啓発の源流「アドラー」の教え」

⇒バックナンバー一覧