こんにちは、鈴木寛です。

 このコラムを書いている現在、都内の桜が満開になっております。東京・本郷の東大キャンパスにも咲き誇っており、闊歩する学生の数も増えて、陽春のムードに包まれています。

 新年度で人心一新。まずは軽く近況報告ということで、さる3月29日付で日本サッカー協会の理事に就任しました。今回の評議員会・理事会で、私の理事就任と、国立西洋美術館長の馬渕明子さんが女性では初めてとなる副会長就任が決まりました。大仁邦弥会長から私と馬淵さんには「“社外取締役”として外の空気を入れてほしい」とお声掛けいただきました。

 私の課題はグローバル対応とガバナンス(内部統制)強化、コンプライアンスです。先月、浦和レッズのサポーターが人種差別ととられかねない横断幕を掲示して、Jリーグでは初の無観客試合という残念な事態がありました。こういう問題があると、FIFA(国際サッカー協会)の日本サッカーに対する視線が厳しくなります。実際、FIFAからは日本を含む各国の協会にガバナンス強化を要求されているという背景があります。

 サッカー協会のガバナンスは日本のスポーツ界ではしっかりしているほうなので、2020年の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、他の競技団体に対してもガバナンス、コンプライアンスに関して、サッカー界は「お手本」を示さなければなりません。17歳以下女子W杯で初優勝の快挙を遂げた「リトルなでしこ」を含めた選手たちの活躍を、後押しできる環境整備のお手伝いをしていきたいと思います。

「良いところ・悪いところ」を
見ずに辞めるのはもったいない

 そういうわけで、私もサッカー協会では「新人」ですが、この4月から新たに社会人の一歩を踏み出された方にお話をしていきたいと思います。学生向けには、以前もこちらで「書を読み、師や友と語らえ」と書きましたが、新社会人向けに発信する機会はあまり無かったように思います。もちろん、学生と社会人では同じ1年生でも全く異なります。

 まず贈る言葉を挙げろと言われると、「石の上にも三年」。昔から「桃栗三年、柿八年」と言うように、それ相応の成果が出せるようになるには一定の年月と忍耐が必要です。ひょっとしたら「すずかん、意外に古めかしいことを言うな」と思う読者もいらっしゃるかもしれません。

 私の教え子にはITベンチャーや社会起業家として若くして活躍する人たちが目立つので、私が「自分のやりたいことをすぐにやれ」と“促成栽培”を奨励しそうな印象があるかもしれませんが、彼らは寝ずに仕事をしているので、のべ仕事時間は少なくないのです(笑)。