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悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

企業は負け犬の集まり、自立したプロの私こそ被害者
40歳変人主婦ライターが生んできた“悶えさせる職場”

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第38回】 2014年4月15日
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 今回は、出版業界で「フリーライター」をする、40歳の女性を取り上げる。女性は十数年前に結婚し、今は夫婦で幸せな生活を満喫している。

 20代の頃は、いくつかの小さな会社に勤務していたが、いずれも短い期間で退職を繰り返した。当時から、周囲から「キモイ」「変人」と言われ、遠ざけられていた。その後会社を辞めて、専業主婦になった。今度は、「フリーライター」と名乗り始めた。書くことで十分な収入を得るだけの実績もキャリアもない。だが、自分は「プロのライター」だと公言する。

 会社員の頃も主婦としてライターになった後も、彼女はなぜ「キモイ」「変人」と揶揄され、孤立するのか。このような人が企業社会にいることも含め、考えてみたいと思う。なお、本文中にフェイスブックの中から、一部を引用した部分がある。それらは、プライバシー保護のため、一部を加工・修正したことをあらかじめ述べておきたい。


40歳にして未だ「主人が…」を乱発
幸福アピールに酔いしれる主婦ライター

 今年3月11日、40歳の女性のフェイスブックのウォール。どうやら、3年前の大震災のことを書いているらしい。

 「あの日(3年前の震災)、地震のとき、主人は私にメールを送ってきて、大丈夫か?なんて。ああ、愛されているんだな、なんて思って…遺族の人に不謹慎ですよね!」

 およそ40歳の女性とは思えぬ子どもっぽさで、フリーライターとは思えない文章が、この後も長々と続く。ほとんどの投稿に「主人が…」「主人が…」といった言葉が繰り返される。そして、盛んに自らが「幸福」であることを強調する。

 「主人が、私の作ったお料理を、おいしいねって言ってくれて…」「今日は、主人とデート!」…。

 それぞれの投稿の下に、「いいね」を押す人がわずかに2人。どうやらその2人は、この女性の主婦ライター仲間のようだ。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史

 企業で働くビジネスマンが喘いでいる。職場では競争原理が浸透し、リストラなどの「排除の論理」は一段と強くなる。そのプロセスでは、退職強要やいじめ、パワハラなどが横行する。最近のマスメディアの報道は、これら労働の現場を俯瞰で捉える傾向がある。

 たとえば、「解雇規制の緩和」がその一例と言える。事実関係で言えば、社員数が100以下の中小企業では、戦前から一貫して解雇やその前段階と言える退職強要などが乱発されているにもかかわらず、こうした課題がよく吟味されないまま、「今の日本には解雇規制の緩和が必要ではないか」という論調が一面で出ている。また、社員に低賃金での重労働を強いる「ブラック企業」の問題も、あたかも特定の企業で起きている問題であるかのように、型にはめられた批判がなされる。だが、バブル崩壊以降の不況や経営環境の激変の中で、そうした土壌は世の中のほとんどの企業に根付いていると言ってもいい。

 これまでのようにメディアが俯瞰でとらえる限り、労働現場の実態は見えない。会社は状況いかんでは事実上、社員を殺してしまうことさえある。また、そのことにほぼ全ての社員が頬かむりをし、見て見ぬふりをするのが現実だ。劣悪な労働現場には、社員を苦しめる「狂気」が存在するのだ。この連載では、理不尽な職場で心や肉体を破壊され、踏みにじられた人々の横顔を浮き彫りにし、彼らが再生していくプロセスにも言及する。転機を迎えた日本の職場が抱える問題点や、あるべき姿とは何か。読者諸氏には、一緒に考えてほしい。

「悶える職場~踏みにじられた人々の崩壊と再生 吉田典史」

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