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田中秀征 政権ウォッチ

エネルギー基本計画は単なる再稼働宣言だった!?

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第229回】 2014年4月17日
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 福島第一原発では濃度の高い放射能汚染水を間違えて別の建物に送っていたという。東京電力はこの汚染水誤送事件の原因を調査したが、今のところ判明していない。

 要するにこれは「3年経っても原発事故は収束していない」ことを意味している。前方ばかり見て全力疾走しているから、後ろのことがおろそかになっているのだ。

 換言すると、安倍晋三政権が原発回帰のための新エネルギー基本計画を閣議決定することに関心を集中し過ぎたから、事故現場に気の緩みが生じたということだろう。

 この誤送事件は全くの想定外のことだというから、これからも想定されていない事態が起きる可能性はある。

数値も期限も明示されない
エネルギー基本計画の無内容さ

 さて、今回の基本計画を精読してもその無内容さに驚かされる。今までのエネルギー政策、原発政策を続行していくという宣言のようなものだ。

 「原子力規制委員会の規制基準に適合した原発の再稼働は進める」とした部分が計画の核心部分だ。これでは再稼働までに首相などの政治判断も不必要になり、規制委の審査結果によって自動的に再稼働していくことになる。政治や行政が不人気な決断から逃げている印象だ。

 さらに気になったのは「原発依存度は、可能な限り低減」とした部分だ。深く読めば、これは必ずしも原発の基数を減らすことにはならない。原発を減らすのではなく、依存度を減らす、しかも「可能な限り」である。

 これから電力消費が拡大していけば、依存度が低下しても、原発が増えていく恐れがある。むしろその可能性のほうが高いのである。「依存度の低減」は、原発政策の転換ではなく、むしろその続行を強く打ち出しているとも言える。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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