第3回にご登場いただくのは、カムコーダーの「TR55」のデザインでソニー史上、初めてグッドデザイン大賞を受賞したアカリネ社長の森宮祐次氏。第2回にご登場いただいた福嶋修氏とソニー時代、同じ「88プロジェクト」で「TR55」開発に取り組んだ中心メンバーの一人だ。デザイナーという立場から、当時のソニーと商品開発について、どのように見ているのか、お話を伺った。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン編集部 片田江康男)

【“ヤメソニー”インタビュー第3回】<br />ソニーには「とにかくやってみる」精神があった<br />——森宮祐次・アカリネ社長もりみや・ゆうじ
1981年千葉大学工学部工業意匠科卒業。81年日本ビクター入社。プロダクトデザイナーとしてカムコーダー「GR-C7」で86年Gマーク部門賞受賞、特許庁長官賞受賞。1986年ソニー入社。アートディレクターとしてカムコーダー「CCD-TR55」にて89年Gマーク大賞受賞。QUALIAクリエイティブディレクター、プロデューサーを務めた。プラズマトロン PZ-2500 にて1996年Gマーク金賞受賞。2009年5月ソニー退職。09年6月ブルーパーセプト設立。2010年7月アカリネ 創立代表取締役社長。2014年4月日本大学生産工学部創生デザイン学科教授。 Photo:DOL

日本の製造業を
どうにかしたい

――ソニー退職後、アカリネを立ち上げられましたが、コンセプトや事業内容等をお教えください。

「アカリネ」は「灯り」と「音」の造語で、アルファベットの「i」の点が赤いドットになっています。これは灯火のようなもので、小さな日本という意味も込めていて、根底には日本の製造業をどうにかしたい、という想いがあります。

 事業はデザイン受託事業とオリジナルの電気製品の製造と販売です。デザイン受託についてはドリームフォレスさんや大手流通企業のオリジナル企画製品の提案などをしています。

 オリジナル製品は現在3種類あります。ブランド哲学は「ココロの時代に向けたプロダクト」を提供し、製造業の新しいリファレンスを目指すことです。これからの時代の家電製品の「規範」「手本」になりたいというふうに思っています。