久々にソニーらしい商品が好調
「PS4」で赤字のソニーは蘇るか?

 2月下旬、ソニーの新型ゲーム機である「プレイステーション4」(PS4)が、ソフトの本数をある程度そろえた上でわが国でも発売が始まった。すでにPS4は北米や欧州、日本を除くアジア地域で発売されており、当初の目標である500万台を大きく上回る売れ行きを示している。

 今のところ、PS4に対するわが国の消費者の反応は好調のようだ。友人のゲーマーの1人は、「久しぶりに、ソニーがワクワク感を味わえる製品をつくってくれた」と評していた。

 そのワクワク感の背景には、FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)と組み合わせて、実際の画像や映像をリアルタイムで多くの人と共有可能にした斬新な製品設計があるという。

 わが国での好調な売れ行きによって、おそらく販売目標が上方修正されるだろう。またスマホなどに押されて、すでにコンソールタイプ(据え置き型)のゲーム機の時代は終焉したとの見方が見直されるかもしれない。

 ただ、PS4の販売好調によって、短期間にソニー全体の収益が大きく好転することは考えにくい。テレビ事業などで苦戦している同社は、すでに一段の人員リストラやテレビ事業の分社化、パソコン事業の売却などを発表している。

 問題は、これからPS4をきっかけに、ソニー(世界で最も新しいものをつくる企業)のイメージをどれだけ復活させられるかだ。PS4は悩める巨人“ソニー”の救世主になり得るか。ビジネススクールのケーススタディになるような、ソニーの隆盛と凋落のプロセスを再研究してみたい。

 PS4の売れ行きは、今のところ世界的に好調のようだ。2月初旬に販売台数が530万台と、当初の目標を超えた。ライバルであるマイクロソフトの「Xbox One」を、かなり凌駕する売れ行きを示している。