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子どもがネットで犯罪やいじめに遭う前に――秋田県が官民協働で取り組む子どものネットリテラシー養成

石島照代 [ジャーナリスト]
【第51回】 2014年5月1日
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 たとえば小学生の間で、携帯ゲーム機で問題のある映像が出回ってしまった理由について。「携帯ゲーム機自体に通信機能がついていることは知っていましたか?」と高橋さんから問われた保護者は、一様に困惑の表情を浮かべながら、高橋さんの話に聞き入る。

 「いつも盛り込みすぎて、時間通りに進まないんですけど…」と高橋さんは恥ずかしそうに笑うが、高橋さんの話は技術的に難易度の高い話は一切出てこないので、とても聞きやすい。

 高橋さんの話が終わった後、聞き手は2人から3人1組になり、話の内容の「振り返り」を行う。この「振り返り」の間に、「ウチの子どもは~」というような話をお互いにすることで、問題を共有できるようになるという。

 ある席でのテーマは「なぜウチでは『パズドラ』をやらせるか」だった。「遊ぶときは親のスマートフォンで遊ばせるが、絶対無課金を子どもに約束させている。破ったら、即禁止」というルールを子どもに守らせているというある母親は、「パズドラは毎月いくら遊んだかを知らせるメールが届くので、子どもがルールを破ってもすぐに分かる。こういう安心感も親にとってはありがたいので、パズドラは子どもに遊ばせている」と話していた。

 会場ごとに計6時間も、こんなやりとりを含む講座をやれば、保護者の意識変化も期待できそうな気がするが、外部の講師を呼ぶなど効率の悪さから敬遠してしまう自治体も出てこないだろうか。

高橋大洋氏(ピットクルー所属、子どもネット研事務局)

 「ネットリテラシーのような話であるからこそ、私はこういう効率の悪い、ていねいな活動が重要なのではないかと思って、出かけていっています。小さい単位での講座開催は効率が悪いかもしれませんが、ここまでしないと顔の見える範囲内にまとまった数の“少し詳しい”保護者は生まれませんし、子どもたちを守りたい思いや熱意なども、生で話さないと伝わらないでしょう。保護者の方も聞きながら、新しい疑問が出てきたときに、その場や次回の講座で個別に解説があったほうがいいですよね。また秋田県側とは、地域ごとに講師を育てる方向性の話も進めています」(高橋さん)

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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