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2030年のビジネスモデル

社長が年間60泊もキャンプに出かけ、
未来をつくる経営

齊藤義明 [ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]
【第18回】 2014年5月22日
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「旅に出ます。探さないでください。(笑)」……
年間60泊もの野遊びをする社長

 自らのフェイスブックに、「旅に出ます。探さないでください。(笑)」というコメントを残して、時々いなくなってしまう社長がいる。

 テント、焚火台、ストーブ、ランタン、野外料理道具などを製造し、本格派アウトドアライフを創造する企業、スノーピークの山井太(やまい・とおる)社長である。山井さんはなんと、年間60泊もキャンプに出かける。こんな社長、世界中を探してもいない。

 社長が年間60泊もキャンプに出かけ、会社を留守にする。そんなことをして会社は回るのだろうか?

 「僕は年間の事業計画を作り、月次チェックをするだけです。あとは、“未来をつくる”のが僕の仕事です」と山井さんは気負いもなく話す。

言葉ではなく、キャンプを通じて
ユーザーと企業の価値観を共有する

 同社には、The Snow Peak Wayという経営哲学がある。その中には「自らもユーザーであるという立場で考え、お互いが感動できるモノやサービスを提供する」と謳われている。普通、企業のウェイ(経営哲学や価値観)は言葉で表現されるだけのことが多いが、スノーピークでは、自らのウェイをユーザーとのキャンプによって共有する方法を採っている。

 社長自らが、年間5000人ものユーザーとキャンプをする。毎回、1泊2日から2泊3日、ユーザーと長い時間を一緒に過ごす。一緒に呑んだり、食べたり、語り合ったり、助け合ったり、そこでは原初的で人間的な交流が生じる。この生身の交流によってユーザーとの間にThe Snow Peak Wayに対する深い共感が育まれる。

 「スノーピークはモノのブランドであるとともに、スノーピーカー(編注・スノーピークの熱心なファン)が作るコミュニティーブランドでもあるんです」と山井さんは語る。

キャンプでユーザーと共に過ごす山井社長
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齊藤義明[ビジネスモデル研究者、経営コンサルタント]

ビジネスモデル研究者、経営コンサルティング会社勤務。政策・経営コンサルティングの現場でこれまで100本以上のプロジェクトに関わる。専門は、ビジョン、イノベーション、モチベーション、人材開発など。

facebookページ:https://www.facebook.com/yoshiaki.saito.1042

 


2030年のビジネスモデル

未来のパターンを作り出す企業は、はじめは取るに足らないちっぽけな存在だ。それゆえに、産業の複雑な変化の過程で、その企業はときに死んでしまうかもしれない。しかし個別企業は死んでも、実はパターンは生き続け、10年後、20年後、新しい現象として世の中に広がる。2030年の日本につながる価値創造のパターンとは何か。現在さまざまな領域でその萌芽に取り組む最前線の挑戦者たちとのダイアローグ(対話)。

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