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現場の悩みを知り尽くしたプロが教える クレーム対応の教科書
【第8回】 2014年5月27日
著者・コラム紹介バックナンバー
援川聡

悪質なクレームに対応するときの
基本話術「ギブアップトーク」とは?
ゴネ得を狙う相手に決して負けない方法

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相手の目的も背景もわからないなかで、しつこいクレーマーと向き合うのは、非常にストレスを感じるもの。しかし、ここで対応のしかたを誤ると泥沼に突入する危険がある。ゴネ得を狙うクレーマーに対処する実践テクニックをケースを紹介しながら伝授する。

「この際、思い切って吹っかけてやろう」

 「なんだか、腹の調子が悪いな」

 柴田浩二は、トイレに駆け込んだ。

〈どうして、下痢なんかになったんだ! チキショー〉

 柴田はムシャクシャしていた。家族で切り盛りしている工務店の経営が行き詰まっていたからだ。

 ため息をついて、ふとキッチンに目をやると、ロールケーキの包装紙がテーブルにある。前日、ターミナル駅の商店街で、妻と2人の子どもの分を合わせて4人分のロールケーキを買っていた。

〈もしかして……〉

 柴田は包装紙を調べてみた。すると、うっすらとカビのようなものが付着している。

 確証はないが、ロールケーキが原因で下痢になったとしたら、ひどい話だ。文句のひとつも言ってやらなければ、それこそ腹の虫がおさまらない。

 「おい、腹が痛くないか?」

 柴田は妻や子どもに聞いてみた。

 「なんともない」
「ちょっとヘンかな」

 どうもはっきりしない。そこに、知り合いの弁護士から電話が入った。用件はたいしたことではなかったが、話のついでにこう尋ねた。

 「もし、外食で食中毒を起こしたら、その補償はいくらぐらいになる?」
「どうして、そんなことを聞くんですか?」
「別にどうこうというわけじゃない。参考までに知っておきたいだけだ」
「そうですか。一概には言えませんが、重症の場合、治療費と賠償金を合わせれば、結構な金額になります。十数万円といったところじゃないですかね」

 柴田は受話器を置くと、電卓を叩いた。

 「一人15万円として、4人で60万円か」

 柴田はゆがんだ表情を見せた。

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援川聡 

 

(株)エンゴシステム代表取締役。 1956年広島県生まれ。79年大阪府警察官に。95年に大手流通業に転職、元刑事の経験を生かしてトラブルや悪質なクレームの対応にあたる。その適切で確実な「解決術」は高い評価を受け、業界団体の講師を務めるほどに。2002年に独立し、(株)エンゴシステムを設立。豊富な現場経験と独自のノウハウをもとに、リアルタイムで企業はじめ医療機関、役所等をサポート。講演・セミナーは年間100回以上、新聞・雑誌への寄稿、テレビ出演も多数。たたき上げの警察官・刑事経験と、販売現場での実務経験の両方をもつ、クレーム対応の第一人者。 著書に『クレーム処理のプロが教える 断る技術』(幻冬舎)、『クレーマーの急所はここだ! 超プロがついに明かす どんな問題もすべて解決』(大和出版)、『理不尽な人に克つ方法』(小学館)など。

 


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