「成果を上げても給料が上がらない」「頑張りが認められない」と嘆く人は多い。しかし、資本主義のルールからすれば、それは大きな間違いである。給料はどのように決められているのか?なぜ職業によって給料に差が出るのか?その秘密は、150年前に書かれた『資本論』ですでに解き明かされていた。

あなたの給料は、こう決まっていた

 これまで、商品の値段の決まり方のルールを説明してきました。値段は、「おいしい」という「使用価値」ではなく、どれだけ「労力をかけたのか」という「価値」で決まっていました(→第1回第2回第3回)。

 マルクスは、取引するものはすべて「商品」であると説きました。そう考えると、あなたの労働力も「商品」だということになります。あなたは、会社のために時間と体力と精神力を使って働きます。そして対価として給料を受け取ります。これは立派な取引ですね。つまり、労働力も「商品」なのです。

 ということは、「労働力の値段」も、商品と同じように決まっているということになります。つまり、ぼくらの給料は、商品の値段の決まり方とまったく同じように考えることができるのです。

 商品の値段は、商品の「価値」が基準になって決まっていました。その商品をつくるのに、どれくらいの労力がかかっているか、どれくらいの原材料が必要か、どれだけの原価がかかっているかで「価値」が決まり、それを基準に値段が決まっているのですね。

 ぼくらの労働の値段も一緒です。給料も同じ理屈で決まっています。だとしたら、みなさんの給料を決めているのは、「みなさんの労働力をつくるために必要な要素の合計」と考えられるのです。

 商品の価値は、商品を生産するのに必要な要素の合計です。つまりこれは、その商品の「生産コスト」です。同じように、労働力の価値も、労働力の「生産コスト」で決まるというわけです。